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仲間由紀恵の顔(最後部加筆) [顔/美人論]


仲間由紀恵は、現在の日本を代表する〈1流〉の美人と思うが、
しかし《合法性》が強すぎて、気になるのである。

《合法性》というのは、私の表現論の用語なので、解説をすると、
社会というのは、私的な表現を排除して成立している。
「公私混同するな!」という言葉に端的に表れているように、
社会性というのは、公的性であって、
そこに私的な感情など入れてはいけないのである。

デザインというのは、
そういう意味で社会的な公的性で成立している美術であって、
デザインには、個人的な感情の起伏や波、そして個人的な思想は入れてはいけないのである。
こういう公的な性格を《合法性》と私は呼んでいる。

職人仕事にも同様な事が言える。
たとえばペンキをコンプレッサーで吹き付け塗装するときに、
職人に、適当にむらむらに吹いてくれと言うと、
断られるのである。
彼らは、誰が見てもきれいに見えるような正しい吹き方しかできないのである。

仲間由紀恵の顔は、いつも正しい顔をしているという意味では、職人的である。
このブログで追いかけているハイアートと、ローアートという区分で言うと、
職人仕事というのは、ローアートの領域である。
女優として、そしてモデルとして仲間由紀恵を見ると、
職人という意味でローアートの人であると言える。
彼女の美しさというのは、
知的な努力をしないで分かる美しさなのである。

最近私は建築の人と付き合っているので、
建築関係者が、いかに《合法性》を重視して、
〈非-合法性〉を排除するか、繰り替えし見てきている。
しかしすぐれた建築には〈非-合法性〉があるのだが、
とにかく目先の仕事をとることに捕らわれている限り、
社会のもつ《合法性》を、単純に重視せざるを得ないようである。

仲間由紀恵は、そういう意味で建築家的であって、
目先の仕事だけを追っているのかもしれない。
目先の観客の反応に溺れてしまえば、
ローアートになってしまう。

しかしハイアートの芸術という表現は逆で、
社会の中にこの排除された個人性を入れていく仕事と言える。
だから芸術は個人的な感性や、気分、思い、そういった個人的なもので、
成立しているのである。
こうした私性を持った表現の質を〈非-合法性〉と言う。

もっとも、ハイアートの芸術と社会的に言われている表現すべてに、
こうした〈非-合法性〉があるかというと、
実は、そう言うわけにいかないのである。

昔、1960年代だが、長岡現代美術賞展というのがあって、
そこで大賞を取った作品の回顧展が開かれたが、
その多くが、20年を越えて見ると、多くがハイアート芸術としては駄目に見えたのである。

その理由は、実はハイアート芸術として評価されたはずの作品に〈非-合法性〉が無くて、
実はデザインワーク=ローアートであったからである。
《合法性》をもつデザイン系=ローアートの作品というのは、
実は時間がたつと古くなって、見られなくなっていくのである。

つまり《合法性》しかない表眼は、時間の中で消費されてしまう。

それに対して〈非-合法性〉のある表現は、
時間を超えて、人々に感動を与え続けることができる。

もちろん一人の人間は、公的性=《合法性》と、私性=〈非-合法性〉と、両方をもっているのである。
しかしバスガイドの独特の口調は、公的性=《合法性》だけで成立している表現で、
コンビニのマニュアル通りの口の利き方もまた、《合法性》の表現で、
私的な〈非-合法性〉が欠けているために、
嘘っぽく聞こえて、いらだちを覚えるのである。

つまり真実というのは、
私的な〈非-合法性〉の中にあるのである。

仲間由紀恵の〈1流〉の美人性には、
この《合法性》が強すぎて、嘘っぽくと言うか、
いらだちを感じさせるものがあるのである。
きれいなのだが、真実が無い。

つまり仲間由紀恵の顔には社会的な公的性=《合法性》が、
表情に強く表れすぎている。
つまりデザイン化された〈1流〉美人なのである。

以前に税務署のポスターに彼女の顔が載っていて、
「税について考える」というキャッチフレーズが付いていた。
彼女の〈1流〉美人性が、
こうした税務署の広告に似合ってしまう《合法性》の強さが、
なんとも腹立たしいのである。

昔の税務署のポスターはなかったので、
最近の確定申告のものである。
この表情も《合法性》が強いのである。

………………………………………………………………………………

彼女は歌手であった。
7枚のシングルを出しているという。
デビューシングルの写真を見てみよう。
この顔立ちには、《合法性》は無い。
むしろ若い少女の私的な感性である〈非-合法性〉が見えるのである。

仲間 由紀恵(本名同じ)1979年生まれ。
沖縄県浦添市出身、5人兄弟の末っ子。血液型はA型。
特技は師範代レベルの琉球舞踊(宮城流)ということもあって、
〈象徴界〉の精神性を持っている。
普通の美人さんが〈想像界〉の人格でしかないのに対して、
〈想像界〉〈象徴界〉〈現実界〉の3界をもつ総合的人格を有しているので
あって、〈1流〉の美人の中でもきわだった美しさがある。

総合的人格をもっていることからも、
女優としても大器であるのは間違いのないことであって、
期待したいだけに、
最初から述べている《合法性》の強さが、
玉に疵となっているのである。

念のために、過去の大女優の顔を見てみよう。


三田佳子である。
〈非-合法性〉がある。
ハイアートの顔を持っている。
女優であると言える。


松坂慶子である。
彼女にも〈非-合法性〉があって、
仲間由紀恵のようなデザイン顔ではない。
ハイアートの女優なのである。


大原麗子である。
彼女でも、〈非-合法性〉があって、
デザイン顔ではないのである。

そういう意味で、
仲間由紀恵は、本当の大女優、つまりハイアートの女優には、
成り得ないかもしれない。
あくまでもローアートの世界の中を生きるのだろう。

1993年、工藤静香にあこがれて地元の「沖縄タレントアカデミー」に入学。
1994年、沖縄テレビ放送の「青い夏」でドラマデビュー。
1995年に上京。
2000年、金曜日の深夜のナイトドラマ「TRICK」の山田奈緒子役で大ブレイクします。


この時の写真です。
顔が小さいから分からないかもしれませんが、
〈非-合法性〉があります。


これも「TRICK」の出演時の写真ですが、
ずいぶん違いイメージなので、
本当に仲間由紀恵なのか、他の出演者なのか、
間違えが恐くなりますが、
眼は、仲間由紀恵の今と同じものですので、
たぶん大丈夫でしょう。

この辺のところから、
仲間由紀恵が整形をして変貌したのではないか?
という噂が流れているようです。

その整形告発サイトの写真です。
http://images.google.co.jp/imgres?imgurl=http://geinoujin-seikei.up.seesaa.net/image/170287.jpg&imgrefurl=http://geinoujin-seikei.seesaa.net/article/27974976.html&h=480&w=640&sz=87&hl=ja&start=9&um=1&tbnid=AFwOPtj6cLSnLM:&tbnh=103&tbnw=137&prev=/images%3Fq%3D%25E4%25BB%25B2%25E9%2596%2593%25E7%2594%25B1%25E7%25B4%2580%25E6%2581%25B5%26um%3D1%26hl%3Dja%26lr%3D%26sa%3DN

しかし、このサイトの書き込みの意見は、
整形に対して否定的です。
代表的なのは、
次のような意見です。

 仲間さんが芸能界デビューするきっかけとなった沖縄地元局製作のドラマ『青い夏』を見ていました。
 仲間さんは主演:山本太郎に想いを寄せる高校の同級生役でしたが、初めて彼女を見たとき「世の中にこんな美しい娘がいるのか」と息をのんだのをおぼえています。
 東京に出て本格的にデビューする前から、彼女は信じられないほど美しかったのです。多分、整形はしてないと思います。

整形の有無そのものには、私自身はあまり興味がない。
事実いろいろなタレントに対する指摘がなされているが、
プロである以上、何があっても、良いとは思う。

ただ、整形すると、人格や性格が変わるということは
起きる。

以前に日本ラカン協会の学会に登場したのは、
整形医で、精神分析医をしている藤田博史氏であった。
私はこの先生の学会発表も聞いているし、
個人的にもお話しをしている。

整形すると、人格や性格が変わるということは
具体例では弘田美枝子の例で見てきている。



弘田美枝子は、デビュー当時の
並外れた歌唱力とパンチの効いた歌声はすばらしかったのだが、
整形美容で変貌してしまった。
しかしこの整形後の1969年の「人形の家」で、
日本レコード大賞の歌唱賞を受賞したのである。
社会化というのは、実は整形を要求していると言える。

整形をしていようといまいと、
実は変わらない問題があって、
人間は子供から成長して、大人になるときに、
それまでの子供の自我を殺して、
回りにいる大人の自我を急遽コピーして、
大人の社会に仲間いりする。

つまり去勢であり、成人式のイニシエーションである。
こうして社会に入るというのは、
実は私的な、つまり〈非-合法性〉のある自我を殺して、
社会的な、つまり《合法性》の自我に、自分自身を作り替えることを
意味しているのである。

つまり整形美容と同じ作業が、人格的になされるのである。
すべての社会人は、実は整形美人であると言って良いものなのである。

仲間由紀恵の〈1流〉の美人の顔に見える《合法性》の強さは、
美容整形をしていようと、していないにしても、
どちらにしろ、子供の時代の自我を殺して、
大人になったときの獲得されたものと言える。

さて、今よりも昔の、若い時代の
〈非-合法性〉のある仲間由紀恵の顔を見てみよう。

〈想像界〉の眼で、〈1流〉美人。
〈象徴界〉の眼で、〈1流〉〈1流〉〈1流〉
〈現実界〉の眼で、〈1流〉

典型的な〈1流〉美人である。

〈1流〉というのは、社会的な常識領域である。
………………………………………………………………………………

2002年 ドラマ「ごくせん 」に主演、山口久美子役で人気を呼ぶ。
日本テレビ系の連続ドラマで平均視聴率歴代第1位となる28・0%を記録したのである。

任侠集団・大江戸一家の跡取りである山口久美子(通称ヤンクミ)が、
高校教師として活躍する物語である。

原作の極道色は薄められて、
学園ドラマとしての色合いが濃いが、
しかし仲間由紀恵の《合法性》の強い顔が、
この任侠ものという〈非-合法性〉を演じることによって、
《合法性》と〈非-合法性〉が打ち消しあって、
中性化した不思議な顔になっている。

この顔にあるのは、ハイアートでもなければ、
ローアートでもない顔である。
しかも〈1流〉美人を越えて、
〈超1流〉〈超1流〉〈超1流〉になっている。

つまり、私の気になる《合法性》が消えることで、
〈1流〉美人を越えて、〈超1流〉の美人に変貌することで、
仲間由紀恵の代表作となったのである。

さて、「ごくせん」の第3シリーズが
日本テレビの「開局55周年記念番組」として、
本年4月から放送される。
3度、日本中に“ヤンクミ旋風”を巻き起こすのか!

………………………………………………………………………………
【加筆】
「ごくせん」の仲間由紀恵に見られる眼鏡をかけた顔の問題は、
いくつかの秘密を垣間見せる。

まず一つは、〈1流〉の美人顔が、
いかにして〈超1流〉の美人になるかという問題である。
それは同時に〈1流〉の美術作品が、
いかにして〈超1流〉の美術作品になるかという問題でもある。

〈1流〉のもつ、誰でも分かる花のような美しさが、
眼鏡という人工物をかけて抑制されるときに〈超1流〉化すると
とりあえず言っておこう。
〈1流〉の世界というのは社会的常識的美しさであって、
凡庸ではあるのだ。この抑制が〈超1流〉を生む。

社会常識である〈1流〉を越えない限り、
傑出はしえないのだが、そこには抑制があるのである。

もう一つの秘密は、《中性化》という問題である。
このブログでも長い間追ってきたハイアートとローアートの問題の
一つの答えが、「ごくせん」に見られる合法と〈非-合法性〉の中性化である。

この「ごくせん」の仲間由紀恵の顔は、
同時にハイアートとローアートが打ち消しあった《中性化》が見られるのである。

そして実は近代以前のすぐれた美術品の性格も又、
この《中性化》である。

たとえばレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画や、
そして狩野永徳の作品の質は、《中性化》という性格がある。

つまり合法、〈非-合法〉の分裂も、
そしてハイアート、ローアートの分裂も、
実は近代社会特有の分裂化であって、
それ以前には無かったものなのである。

言い換えると、近代の否定の手法としては、
この《中性化》の復権は、有効なのではないか?

という分けで、現在制作中の150号の正方形の
キャンバス・ペインティングを、
この《中性化》で、制作を試みることにする。








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コメント 3

かえで

すばらしいですね!!
ヒコさんの美人論って、私自身も「なんとなく思っているんだけどうまく説明できない」ことを見事に説明されているんですもの。(生意気に聞こえたらごめんなさい)
合法性の強さがそのまま仲間さんの好感度の高さにつながるっているんでしょうね。
私的な顔ではなく公的な顔だからこそ、万人受けして嫌われないというか。
良くも悪くもアクがないという意味では東山魁夷の作品のようなものでしょうか。
by かえで (2010-01-11 02:35) 

ヒコ

かえで様
コメントありがとうございます。
by ヒコ (2010-01-17 11:30) 

nana

最近話題の「マキアージュ」新CMキャラクターのICONIQ(アイコニック)さん、髪を切る前(話題のCM前)と後では美人論的に格変化していますか?
坊主頭がどうも気になるのですが、非合法性でしょうか?
by nana (2010-01-20 08:16) 

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