帝国美術館と皇居美術館(加筆2) [アート論]
『帝国美術館』というのは、
『皇居美術館』という空想作品の第2弾作品である。
『帝国美術館』という名称は、
ネグリ/ハートの『帝国』という世界ベストセラーになった本から来ている。
私の大風呂敷というか、
誇大妄想的思考の到達点というか、
彦坂尚嘉の遺作にしたいという、
最後のプロジェクトである。
マンハッタンに、世界中の《超1流》の美術品を集めた美術館が、
2001年にブッシュ大統領によって完成したと言う、
過去形の空想物語である。
何故に2001年かと言えば、
アーサー・C・クラークとスタンリー・キューブリックが
アイデアを出しあってまとめたストーリーに基いて製作された
SF映画『2001年宇宙の旅』という映画にひっっかけているのです。
それと、あくまでも過去でないと、
アメリカが沈没して来ているので無理な話で、
過去のアメリカの栄光の中の物語なのです。
1991年のソヴィエト崩壊で、
アメリカが独り勝ちして、
ブッシュ大統領は、アメリカに、
世界中の《超1流》の美術を集めて、
《全人類美術館》を作ろうとしました。
そもそもの発端は、ブッシュが教養が無いというコンプレックスがあって、
ならば芸術の大コレクターになって、
世界を見返してやろうと、考えたのです。
世界一の軍事力を背景に、
フランス全土にミサイルの標的を合わせ、
モナリザをはじめとするレオナルドダヴィンチの作品の、
委託を要請する外交交渉を展開します。
もちろんフランスははねつけるのですが、
原子力空母10隻が、フランス沿岸に集結して、
事実上の海上封鎖のデモンストレーションに緊張感は高まり,
ブッシュが大統領に在任中に限るという期限付きで、
レオナルドダヴィンチの6点の名画が、
アメリカに貸し出しすることが決まります。
こうしてブッシュは、次々と軍事力を背景とした脅しによって、
《全人類美術館》建設を実現して行ったのです。
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『帝国美術館』というのは、
グローバリゼーションを美術史で考える作品であります。
もう一方の『皇居美術館』というのは、
ローカリゼーションを現代美術家の思考として、
作品にしたものです。
まあ、何の事は無い、世界美術全集と、
日本美術全集を、
彦坂尚嘉が、《超1流》の作品に焦点を絞って、
人類史が到達した頂点を提示しようと言うものです。
何が芸術であったのか?
その人類規模の頂点を確認しようと言う”見せ物”です。
昨日は、若い建築家の松田逹さんを呼び出して、
新宿であって、
いろいろとお話を伺った。
私の聞きたかったメインの話は、
ニューヨークのマンハッタン島の上に、
高さ1万メートルの『帝国美術館』を建築するというプロジェクトを、
私が考えていて、
その場合の基本的な建築思考の手がかりを、
教えてもらう事だった。
松田逹さんの処女作というのは、
テレビ番組で、インカ黄金神殿というのを設計した仕事がある。
「初めにすべてありき」という原則で言えば、
このインカ黄金神殿こそが、松田逹という建築家の出発点であって、
だから『帝国美術館』というバーチャル建築も、
松田達という建築家の展開として良いのではないか?
という、かってな物語を、私が作っているのである。
それと、できれば皇居美術館で新堀学さんにコラボレーションをお願いした様に、
松田逹さんに、『帝国美術館』の建築プランを考えてもらえないかと考えたのである。
まあ、しかし、いくらずうずうしい彦坂でも、
ノウギャラのこうしたプロジェクトお願いするのは、
心苦しくて、言えなかった。
『帝国美術館』は、まったくの空想であって、
過去型の、サイエンスフィクションなのだが、
それでも勉強をして行かないと、無理である。
いくつか、過去にある巨大高層建築のプランを画像で見せてもらった。
1万メートル級の建築は、
現在の技術では無理なのだが、
それでもバベルの塔からはじまって、
大成建設の富士山のような超高層建築の仮想プランまで、
レクチャーを受けた。
特に、建築は《光》と《風》が重要だという教えをいただいて、
これは刺激になった。
《光》というのは、絵画では重要なのだが、
建築を《光》と《風》という視点では、見てこなかった。
それとエレベーターが重要で、かなりの面積/体積を食うとの話。
なるほどと思う。
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