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束芋の作品(前半/少し校正加筆1写真1枚追加) [日本アーティスト序論]

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束芋「at the bottom」(2007)

カルチェのモバイルアートは見に行ったので、
当然の様に束芋の作品は、
最初から最後まで、じっくりと見た。2回も見てしまった。
私の場合、自分が評価しない作家というのは、
私にわからないのだから、基本的には、きちんと見ようと努力する。
それと人に聞く。何故に良いのかと?

そういう訳で、
レトロでシュールなアニメーションが人気の高いとされる束芋 なのだが、
この作品、つまらなかった。
アニメーションとしては、まったく凡庸。
装置は、きれいにできていたから、装置を評価する視点で見なければならないのだろう。
しかし、アニメーションがあまりにも凡庸で、
この上映システムときちんと対応している様には見えなかったのだが、
どうだろうか?

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先日、丸亀の猪熊弦一郎美術館で見たピピロッティ・リストの方が、
私には面白かったのだが、そういう見方は、
束芋への偏見なのだろうか?

さて、そういうわけで、
束芋のモバイルアート作品である。

《想像界》の眼で《6流》、デザイン的エンターテイメント。
《象徴界》の眼で《6流》、デザイン的エンターテイメント。
《現実界》の眼で《1流》、デザイン的エンターテイメント。
シニフィエの美術。
固体美術。

そう、固体美術なんですよね。
つまり現代アートではなくて、前近代アートなんですよ。
古いのね。
だからレトロと言われるのでしょうが、
本質的に表現が古くさいのね。
だから受けるのでしょうね。

束芋たばいも)は、本名、田端綾子。
1975年うまれで、現在33歳。
母親は陶芸家の田端志音(たばた しおん)。

田端志音は、古美術店『谷松屋戸田商店』(大阪)勤務をへて、古美術店で数々の名品を実見し、茶陶の世界に魅せられ作陶の道へ。乾山を徹底的に写すことで、赤絵・銹絵(さびえ)・染付とさまざまな手法に習熟。1991年神戸市に開窯。
吉兆(きっちょう)とは大阪市に本拠がある日本料理の高級料亭であるが、その 『吉兆』の創業者・故湯木貞一氏に才能を見出され、尾形乾山の写しに打込む。 陶芸家・杉本貞光氏に師事し研鑚を重ねた後、04年軽井沢に制作拠点を移設。

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束芋の母親・田端志音の陶芸です。

《想像界》の眼で《超1流》ですが、デザイン的エンターテイメント。
《象徴界》の眼で《超1流》から《7流》の重層表現ですが、デザイン的エンターテイメント。
《現実界》の眼で《超1流》ですが、デザイン的エンターテイメント。
固体陶器。

前近代の古いタイプのものですが、
クオリティは、《超1流》で、たいへんなものです。

乾山を徹底的に写すことで、赤絵・銹絵(さびえ)・染付とさまざまな手法に習熟」と、
経歴にあったように、コピーをすることによって伝統を学んでいる、
伝統主義者なのです。

日本の陶器は《1流》が多くて、
その中では、奇跡のように傑出しています。
しかし残念ながら真性の芸術ではなくて、
デザイン的エンターテイメントなのであります。

真性の芸術というのは、作家自身の私的な感覚や、私的な個人史の遡行性を軸に組み立てられている面を保持していなければならないのですが、束芋の母親である田端志音には、そういう個人の私的な質は放棄されていて、歴史的な名品をコピーする事に心血が注ぎ込まれているタイプの陶芸家だからです。そういう意味で職人的な陶芸家であって、近代の芸術家的な人ではないのです。

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田端志音の顔です。

《想像界》の眼で、《超1流》美人。
《象徴界》の眼で、《超1流》美人。
《現実界》の眼で、《超1流》美人。
固体美人。

こういう古い固体美人のお母さんの生んで育てた子供ですから、
束芋も、固体人間で、前近代タイプ。
束芋は、6歳のとき、毛筆で仏画を描き、母はそれを家に飾り、
訪れたひとは6歳児の作とは思えないそのできばえに、
驚嘆したということです。

男が、女性に恋をしたら、その母親を見ろと言いますが、
娘と母親は似ている事が多いという経験値です。
まちろん母親と中の悪い娘もいますが、
しかし女性は一緒に住むと生理まで同調する様に、
母親と娘は、生物の同調性のメカニズムで、同調しているものを
沢山持っているのです。

田端志音と、その娘の束芋は、
同調性のメカニズムで、基本の構造は、同じであって、
模倣を基盤とする伝統主義者で、
固体美術、つまり前近代美術の作家なのであります。

そしてその表現は、《超1流》性をもった傑出した者でありながら、
しかしデザイン的エンターテイメントであって、
真性の芸術ではないと言える様に、私には見えます。


(つづく)







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