SSブログ

ジョン・ライドンの義理の娘/アリ・アップ(加筆3写真追加8) [音楽]

セックス・ピストルの
ジョン・ライドンの義理の娘/アリ・アップ

女の子バンドの元祖、スリッツの、

アリ・アップの続きです。


mommypistol*.jpg
この女の子の眼には《41流》があります。
普通では、ありません。

アリ・アップは、1964年生まれ、
本名は、アリアンナ・フォスター(Arianne Forster)です。

祖父は、ドイツ人の新聞社社長で資産家でした

母親は、その娘ノラ。

お父さんのことはわからないです。

アリ・アップは純粋のドイツ人には見えませんね。
黒人、あるいはカリビアンか何かの、
混血のようにも見えます。

ari-up-greencaftan+youngdreadypink1.jpg


アリ・アップが、
パンクバンドの
スリッツを結成したのは、14歳の時でありました。

全員が女性であるという
文字通りの少女バンドであって、
今でこそ普通ですが、
当時はめずらしいものでした。

14歳の少女が、
バンドを結成し、
しかもデビューして、
レコードアルバムを売る。
なぜに、そんな事が可能だったでしょうか?

ari_on_ladder.jpg
up_in_space_newest.jpg
mommypistol**.jpg

1976年アリ・アップと一緒にバンドメンバーになる
女性のドラマーが、パルモリヴです。

ロンドンで行なわれたパティ・スミスのライヴへ行ったさいに

2人が意気投合したことがきっかけとなって、

スリッツは、結成されました。

slits_1.jpg
この、パルモリヴという女性が、たいへん重要な人物。

パルモリヴ(1955年 - )はスペイン生まれです。

本名はパーマ・ロメラ(Paloma Romera)。
1972年にロンドンへ移住して、ヒッピー生活をしていたのです。

さて、このパルモリヴと、アリ・アップが一緒に見て、
感動したのが、
ニューヨーク・パンクの女王パティスミスだったというわけですが・・・。

117286_1_f.jpg
パティ・スミスは1946年生まれ。
私、不詳彦坂とか、清水誠一さんと同い歳です。

シカゴ出身

アメリカがヴェトナム戦争に敗れた年、
1975年に29歳で発表したデビュー作『ホーセス』は、
メイプルソープによるジャケット写真も話題となり、
ロックの名盤として今日まで高い評価を受けています。
いやあ、ほんとに良いです。
必聴のアルバムです。

私は2年ほど遅れて買っていて、
その写真は、ジャケットだけでなくて、
内側のパンフレットの大きな写真も美しくて、
驚いたものです。
当時はレコードですから、
写真も大きくて、すばらしい。

メイプルソープに感動した最初が、
このパティ・スミスのジャケットであったのです。

写真評論家である多木浩二さんが、
エイズにかかって、髑髏の杖を持って座っている自画像写真の
メイプルソープに感動していると書いて本にしていますが、
それは、メイプルソープ体験としては、あまりにも遅すぎるのです。
たぶん、音楽も聴いていなくて、
パティ・スミスも知らなかったのでしょう。
しかしランボーの詩をすべて暗唱できる女として登場した
このパティ・スミスの登場こそが、
アメリカのヴェトナム敗戦による、近代という時代の終焉を
象徴するパンク・ムーブメントの大輪の花であったのです。

515K8pbNtXL._SS500_.jpg
翌1976年、セカンドの『ラジオ・エチオピア』がでます。
これも聴いています。

そしてパティスミスのロンドン公演が、あったのでしょう。

以前に読んだのは、パティスミスにロンドンは冷たくて、
影響を与えなかった様な記事でありましたが、
スリッツの結成に影響していたとすれば、
それは間違いであったと言えます。


ari-ass_up.jpg
ari-up-greencaftan+youngdre.jpg
アリアップの顔です。
《想像界》の眼で《1流》美人。
《象徴界》の眼で《41流》美人。
《現実界》の眼で《41流》美人。

《想像界》《象徴界》《現実界》の3界をもった総合的人格者。
固体/液体/気体の3様態性をもつ多様的人格者。

《41流》で《1流》美人という、珍しい人です。
何かあるのでしょうね。
でなければ《41流》であるはずがありません。

しかし、何かあるにしても、
いくらパティスミスを聴いて感動したからといって、
14歳の少女がバンドを結成し、
しかもデビューして、レコードを発売できるものでしょうか?

510982_356x237.jpg
その秘密は、アリ・アップの母親にあったのです。
ノラという母親は、クリス・スペディングと同棲していたのです。


chris2.jpg
クリス・スペディングというのは,
エルヴィス、E.. コクラン、G. ヴィンセントらの影響で,
13才くらいから本格的にギターを始めたというミュージッシャンです。

イギリスのロカビリーの重要な音楽家で、
パンクロックとも関係が深かったのです。
現在も活躍しているミュージッシャンです。


リス・スペディングは、
60年代の終わりころ、ジャズ・ロックのスゴ腕ギタリストとして日本でも紹介され、
絶妙なギターのテクニックとともにビートの利いた本格的ロックンロール演奏したそうです。

エリック・クラプトンやジミー・ペイジに次ぐアイドル・ギタリストに仕立てようという動きがあり、『ミュージックライフ』の表紙やカラーグラビアに何度か取り上げられたこともあったそうです。


600x450-2007011000013.jpg
クリス・スペディングのいたバンド「バタード・オーナメンツ」や、
「ニュークリアス」自体が自然消滅気味になり、

「フリー」のベーシストだったアンディ・フレイザーと
‘SHARKS’というバンドを組み、
1973年に、The Sharks toured in UKというアルバムを出しています。


sharks.jpg



shk2.jpg
さらにもう一枚、
The Sharks II debut gig at Marqueeも、出しています。

2枚のアルバムを残した後はセッション・ギタリストとして活動
をしておりました。


chris.jpg
1975年には、
イギリスの代表的音楽ニュースペーパーNME誌の、
読者が選ぶロック・ミュージシャンのベスト・ドレッサーに、
クリス・スペディングが2位にランキングされていたのです。

nme1.jpg

1位がローリングストーンのミック・ジャガーだったし、
キンクスのレイ・デイヴィスやDr.フィール・グッドのリー・ブリロー、
そして10位にはパティ・スミスなどの名があったのです。
その中で2位というのは、凄いです!

つまり、このクリス・スペディングはたいへんな有名人であったのですが、
このミュージッシャンと、母親のノラが同棲していたのです!

いまでも、評判の高いミュージッシャンなのです。
以下、彼のアルバムのいくつかの画像です。
a92c10f5f5068e73cd457dffbf158fe3.jpg
478419633_1de9f57a98.jpg
ChrisSpeddingI'mNotLike.jpg
vibrators 1.jpg
spedding2.jpg
gordon-spedding_now-or-neverLP.jpg
spedding 2C006 99568.jpg
さて、母親のノラは、しかしそれだけではありませんでした。

このクリス・スペディング のところに、
ジョー・ストラマーが、転げ込んできて、居候をしたのです。
ジョー・ストラマは、パンク・ロックバンド、ザ・クラッシュのボーカリストです。
そのデビュー前の状態です。
index2-_04.jpg

クラッシュ(The Clash)は、1976年 - 1986年にかけて活動した
イギリスロンドン出身のパンク・ロックバンドです。

セックス・ピストルズと並び称されるロンドン・パンクの雄です。
その音楽性はステレオタイプのパンク・ロックの枠にとらわれず、
レゲエダブなどの音楽的要素を貪欲に吸収し、
独自の個性を確立して、シーンに大きな影響を与えました。

特にギグはすばらしく、伝説になっています。
私はビデオを2本買っています。
clash-us.jpg

373.jpg
clash-london calling.jpg
jukebox-1.jpg
The-Clash-Combat-Rock-322061.jpg

このジョーストラーマーが、
交際していた女性が、
アリアップと一緒にパティスミスを見に行った
パルモリヴだったのです。

slits_2.jpg

パルモリヴは、ジョーストラマーに影響を与えていて、
ジョース・トラマーがクラッシュを結成する前のバンドである
The 101'ers(ザ・ワンオーワナーズ)の1stシングルの曲、
 "Keys to Your Heart"は、パルモリヴに影響されて作られたと言います。
LogoeditThe101ers.jpg


続きは下をクリックしてください

いや、それ以上の関係でした。
ジョー・ストラマーと知り合ってしばらくのあいだ同棲してたのですが、
やがてセックスピストルズが登場し、
パンク・ムーヴメントが勃発すると、
ジョー・ストラマーをはじめとする同世代の若者の活躍に触発され、
パルモリヴと改名して
伝説的なバンドフラワーズ・オブ・ロマンスのドラマーとして活動をしているのです。

フラワーズ・オブ・ロマンスは1976年に結成されたバンドで、
一度もライヴを行なわず、
スタジオ・レコーディングも残していないにもかかわらず、
パルモリヴ、そしてスリッツのギタリストになるヴィヴ・アルバータイ、
さらにのほかにもピストルズ加入前のシド・ヴィシャスや、
0f4b7a8c.jpg
デビュー前にクラッシュを脱退したキース・レヴィンが在籍していたことでよく知られています。

キース・レヴィンは、
ピストルズを脱退したジョニー・ロットンが
foto-200.jpg
新たに結成したバンド、パブリック・イメージ・リミテッドに参加するのですが、
このバンドの3rdアルバムのタイトルがやはり『フラワーズ・オブ・ロマンス』であったのです。
PiLFlowersOfRomance.jpg
PILの『ワーズ・オブ・ロマンス』

私は、このキース・レヴィンのギターが大好きでありました。
levene1.jpg
spex83.jpg

さて、アリアップの母親のノラは、

このジョー・ストラマーと交際していたパルモリヴと知り合い、
なんと!、バンド結成したというのです。

つまりパルモリヴという女性ドラマーは、
ジョーストラーマーの恋人であり、
アリアップの母親とバンドを作っていたという事は、
スリッツというバンドの前進は、
母親ノラのバンドであったということです。

だから14歳のアリアップが、
母親から引き継ぐかの様にして、
スリッツを結成する事が、
できたのです。

さて、話が、脇道に入ります。

パルモリヴが、フラワーズ・オブ・ロマンスのドラムであった事、
そしてさらにスリッツを結成し、そして1978年末には脱退して、
レインコーツに参加しています。
レインコーツもまた、女の子バンドなのです!
raincoats.jpg
raincoats-2.jpg

レインコーツは、77年の末、アナ・ダ・シルヴァとジナ・バーチがロンドンのアート・スクールで出会ったことにより、スタートしています。

元スリッツのパルモリヴがドラム、そしてヴァイオリン奏者も加わり、79年に1stアルバム『The Raincoats』をリリースします。

raincoats-1.jpg

メイヨ・トンプソン(レッド・クレイオラ)が共同プロデュースを行ない、演奏技術を越えたイノセントなプレイが衝撃だったといいますが、私は未聴です。買おうとしてアマゾンで探したのですが、再発されていませんでした。

TheRaincoatsOdyshape-1.jpg

81年には、2ndの『Odyshape』を発表。そして84年には、初期PILのドラマーだったリチャード・ドゥダンスキーも参加した、3rdの『Moving』をリリース。そして終わります。

Moving_1984_s.jpg

しかし、このレインコーツを聞いていたのが、ニルヴァーナのカート・コバーンで、92年頃に大ファンであることを公言し、その影響もあって3枚のアルバムが再発されたというのですが、残念!、私は買えませんでした。

 そしてアナとジナは、スティーヴ・シェリー(ソニック・ユース)をヘルパーに迎え、レインコーツとして発売記念ライヴを敢行。再び続けてみることになり、96年に『Looking In The Shadows』を出したというのです。不変の瑞々しさに満ちた感動的なアルバムだそうですが、どうしようかな?買うのか、買わないのか?

LookingintheShadows_1996_s.jpg

(以上の記事は行川和彦氏の記事を参照しています。http://music.goo.ne.jp/artist/ARTLISD11556/index.html)


私見を申しあげれば、1975年のアメリカのヴェトナム戦争の敗戦で、近代という時代は第1回目の終を遂げます。この近代の崩壊の中から、パンクムーブメントが出現し、そしてこのムーブメントに中には、パティスミスから始まる女性パンクロックの水脈があったのです。だからこそ、スリッツの泥を塗りたくった裸の若い女性の野蛮人のジャケットと、そしてその音楽には、革新的で新鮮な輝きがありました。

slits2.jpg

この女性パンクロックの輝きは、それに共感したニルヴァーナのカートコバーンによって引き継がれます。

1991年、ソヴィエト崩壊による第2の近代の終焉、そして本当の終わりの亀裂の中で、ニルヴァーナのグランジは出現し、『ネヴァーマインド』はあっという間に1000万枚を売り上げる大ヒットになりました。そのヒット曲はメルズ・ライク・ティーン・スピリット(Smells Like Teen Spirit)で、「Hello, hello, hello, how low? (やあ、どれぐらい酷い?)」という歌詞の暗さと、音の過激さからは、このヒットは、まさに近代の最終終局に対応した音楽の出現だったのです。

 このニルヴァーナの3人のメンバー全員の両親が離婚している事でも知られています。そしてロックスタートして大成功してもなお満たされない空虚を抱えたカートコバーンは自殺して行きます。

nirvana21.jpg

幼児が水中を裸で泳ぎ、紙幣に釣られるという印象的なジャケットで、ソヴィエト崩壊後の世界が、新自由主義の金融市場主義世界である事を、ものの見事に予見した、見事なアルバムだったのです。


私はニルバーナを、最初から高く評価して、美術手帖での岡崎乾二郎との対談でもニルヴァーナを評価する発言をしていますが、岡崎は知らなかったのか、趣味が違いすぎるのか反応しませんでした。

さて、閑話休題。

話を、最初のパンクの出現と、母親ノラに戻します。

てさて、母親ノラに関してさらに驚くべき事に、セックス・ピストルズのリーダーであったジョニー・ロットン(=ジョン・ライドン)と再婚したのです。
Sex_PistolsNever_Mind_The_BollocksFrontal.jpg

images744927_SexPistols.jpg

法的に籍はいれていないようですが、
ジョンライドンは、妻と言っています。
ノラはライドンより14歳年上であったのです。

つまりノラというのは、トップ級のロックスターのクリス・スペディングの恋人や、さらにはセックス・ピストルズのジョンライドンと結婚するという、そういう魅力的な女性だったのでしょう。

ノラの写真を一生懸命に探したのですが、
下の写真が、たぶんジョンライドンと、
14歳年上の妻ノラのはずであります。
LYDON188a.jpg

とにかくこうして、
スリッツのアリ・アップは、
ジョン・ライドンの義理の娘になったのです。

こうした母親ノラのパンクロック人脈を背景にして、
アリアップは、デビューし、そして現在の再デビューの活動も、
この伝説的な人脈を背景にして成立していると言えるのです。

1977年5月、フラワー・オブ・ロマンスにいたドラマーのパルモリヴや、ギターのヴィヴが、
クラッシュのジョー・ストラマーやミック・ジョーンズと親しかったためもあり、
スリッツはメンバーが固まってからわずか3回のリハーサルを経たばかりで、
クラッシュの「White Riot Tour」に前座として起用されて、デビューしたのです。

slits_11.jpg
bruce_slits_1981_newest**.jpg

1.jpg
2373850072_4f8df66e65.jpg


■まとめ

こうした女の子バンドの出現の波は、
美術にも波及します。

アメリカでは、ルイース・ブルジュア、ニーベルソン、エヴァヘッセ、草間弥生、オノ・ヨーコ、ナンシースペロ、マリー・ケリー、リンダベングル、ジョディ・シカゴ、さらには1941年生まれのジャニファー・バレットや、エリザベス・マーレーら女性作家の大量出現になり、日本でも1980年代の工作少女の大量出現に波及します。

1990年代になると、ガールズホトのムーブメントが、広がり、多くの女性写真家を生みます。

建築でも女性建築家の出現は大きなものがあって、
五十嵐太郎編集長の『建築雑誌』(日本建築学会の機関誌です)が、特集『建築ガールズパワー』を8月号で掲載しています。
概略を言えば、1980年代になると長谷川逸子、高橋晶子、妹島和世といった女性建築家が登場しています。

こうした女性作家を考える上で、私見ですが、スリッツの音楽と、そしてジャッケットの衝撃的な野蛮人性は、重要な意味があったと思います。

そこには、《6流》という野蛮への回帰と、そして戦場領域の《41流》領域の出現でありました。

《6流》と《41流》の両面で、この1975年以降を見る上にも、
あのスリッツの登場は、私には深いインパクトがあったのであります。
slits1.JPG

しかし、女性の進出が当たり前になった時に、
その後の展開が問われる時代に、現在がなって来ているとも言えます。

スリッツの再結成や、レインコーツの再結成に、
眉唾で向かわざるを得ないのは、美術家での女性作家の展開力の甘さや、
不甲斐なさに、失望を禁じ得ないからです。

新野蛮人の展開には、限界があったのではないでしょうか?


nice!(2)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 2

コメント 2

T

へ~
by T (2009-12-04 00:46) 

nobio

Wikipedia本家
http://en.wikipedia.org/wiki/Ari_Up
では、アリ・アップは1964年ではなく、1962年ミュンヘン生まれとなっています。
「1976年に14歳でスリッツを結成」という話とも整合するので、
とりあえず1962年なんじゃないでしょうか。
by nobio (2010-06-09 03:58) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。