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自作解説について [自作解説]

自作について解説する作家たちの登場というのは、
私には、ある種の嘘のように見えて来ていました。

例えば、柳幸典さんのレクチャーを聞いたことがあるのですが、
それは海の底に眠る古い日本の軍艦を、
海に潜って撮影するという作品なのですが、
その経緯を、詳細に解説していたのです。

実物の柳幸典さんビデオ作品を見てもそうなのですが、
何故にそれが、芸術であるかは、分からない作品であったのです。
NHKのドキュメンタリー番組と変わらないような作品だったからです。

こういう解説に比べると、
松井冬子さんの自作解説は、
主題から、技法から、自分の考えている事まで、
解説としては良くできているのです。

それでもしかし、その作品が芸術としてどうなのかは、
実は何も言っていないのであって、
芸術分析は無いのです。

美術史家の富井玲子さんは、
キュビズムについて、教科書的な解説をなぞって、
私にレクチャーしたので、笑ってしまいましたが、
教科書に書かれているキュビズムや、印象派や、未来派等々の
解説内容は、すべて、外皮だけで、
芸術の成立そのものを、指し示していません。

たとえば印象派について、
次の様な解説があります。

「彼らは、絵の具を用いてできるかぎり光の印象に近づくため、「筆触分割」と「視覚混合」という手法を導入した。これは、ある色を得るためには絵の具を混ぜ合わせるよりも、純色の色斑を並置して、離れて見るとそれらが混ざり合って見える視覚の作用を利用した方が鮮やかな色が得られるというもので、シュヴルールやヘルムホルツの科学的な理論に裏付けられている。」


しかし、色の斑点を併置して、何故に芸術になるのでしょうか?

たとえば、今、同様の色彩併置の方法で、絵を描く事はできますが、それが芸術であると言う保証にはならないのです。

 

しかも、近代芸術は、寿命が短いのです。

今時、印象派のように描いても意味が無いし、キュビズムのように描いても意味が無い。それが何故に、意味が無いのか、何をやったらば、意味があるのか?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

では、彦坂尚嘉は、どうするのか?
最初に《超1流》への芸術へのあこがれがあるのです。
国宝や重要文化財級の作品を、中学生で、眼で暗記しようとして、
出発したアーティストでした。

これは日本の美術だけでなくて、
レオナルド・ダ・ヴィンチや、ヴァンアイクやなどの、
西洋の古典美術の中に、
人類の作り出して来た、芸術を見て来たのです。

彦坂が、考える芸術は、ですから
文明の中の《超1流》作品に限られます。

彦坂が考える近代芸術というのは、
ですから、こうした古典芸術のデ・コンストラクションなのです。

ですから、彦坂尚嘉の芸術作品は、
あくまでも、古典作品を背景としたものなのです。
この古典の脱ー構築の作業として成立するのです。

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