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キャバレーボルテール(加筆2) [第41次元の音楽]

800px-Cabaretvoltaire.jpg

キャバレー・ヴォルテールとは、1916年のダダ宣言を書いた
ドイツ人文学者フーゴー・バルによって、
1916年2月5日に開店したキャバレーです。

チューリヒ・ダダの活動拠点として知られています。

ダダとは、何であったのか?
1914年に第一次世界大戦がはじまり、
そして1916年に両軍共に、総力戦に入ります。
こうした戦闘形態は、初めてだったのです。

しかも戦闘は塹壕戦で、停滞し、長期化します。
その中で、世界が《現実界》へと還元されるのです。
つまり人間の生きる生活世界の上部構造が、
《現実界》になります。

そうすると文化の持っていた意味が解体されます。
ラカン理論で言うと、意味というのは《象徴界》においてのみ、
意味構成が出来るのですが、戦争という《現実界》が
すべてを覆うと、文化はバラバラになり、
意味の無いものになるのです。
その意味の喪失を捉えた表現が、大きくはダダでありました。


スイスチューリヒのシュピーゲルガッセの1番地にありましたが、
現在は残っていません。

上の写真は、観光事業で作られたもので、まったくの偽物です。
以下の写真も最近とられたもので、
観光用のものにすぎません。

cv.jpg
cabaret_voltaire2006.jpg

さて、キャバレーボルテールは失われましたが、
もう一つのキャバレーボルテールが出現したのは1974年です

アメリカがベトナム戦争で敗北する1年前に、
74年にイギリスの工業都市シェフィールドで、
ステファン・マリンダー/リチャード・H・カーク
/クリス・ワトソンにより結成されたキャバレー・ヴォルテールです。

1975年にベトナム敗戦で、アメリカが敗れると、
上部構造としての近代の持っていた《現実界》が、力を失います。
あれほどの軍事力の差がありながら、アメリカと言う軍事大国は、
ベトナムと言うアジアの小国に破れたのです。

それとコンピューターによる情報化社会への移行の進展、
さらには金融制度の変化、等々多くの事が重なりながら、
時代の上部構造が、《想像界》に移るのです。
このことが、1978年頃からのニューウエーブの美術の
発生となって、現れます。
それは同時に《第41次元》の音楽の出現と重なるのです。

《第41次元》の音楽は、1975年以前にもあるものではありますが、
しかし時代の表現として、先端性をもっていくつも現れてくる事が、
何であったのかを、考えたく思うのです。

cabs.jpg
cabaret voltaire.jpg
cabaret voltaire-1.jpg
寿命の長いバンド、現在も活動をしています。

しかし何と言っても興味深いのは、初期の活動の音で、
シンセサイザー?とリズムボックスを使って、
垂れ流す様なサウンドをライブで流し、多くのカセットテープを
販売していた時期ではないでしょうか。

ベトナム戦争の末期から敗戦後の厭世的な気運に反応した
陰鬱なノイズに、ファンキーなグルーヴ感を流出的に、
アンフォルメルに展開した革命的サウンドで、 
同時期のグロヴィンググリッスルとともに、
この時代の暗さを象徴する音楽でありました。

だが、81年のワトソン脱退後は、
ポップなダンス路線へシフト、さらにはハウスまでに、
展開します。
ボックス版で買っているので、
一応その展開は繰り返し聞いていますが、
面白いのは1970年代の中期の音です。

以下、退屈かもしれませんが、
聞いていただければと思います。



《想像界》の眼で《第41次元》の《真性の芸術》
《象徴界》の眼で《第41次元》の《真性の芸術》
《現実界》の眼で《第41次元》の《真性の芸術》

《想像界》《象徴界》《現実界》の3界をもつ重層的な音楽
気体/液体/固体/絶対零度の4様態をもつ多層的な音楽

《シリアス・アート》《ハイアート》

シニフィエ(記号内容)の音楽

《透視音楽》
『オプティカル・イリュージョン』的音楽
【A級音楽】

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コメント 5

NO NAME

"グロヴィンググリッスル"じゃなくて"スロッビング・グリッスル"じゃないですか?
by NO NAME (2009-04-11 17:35) 

ヒコ

NO NAME様
ご指摘、ありがとうございます。
その通りです。
単純誤植です。
訂正致しました。
by ヒコ (2009-04-11 23:05) 

shirahama

学生の頃友達に聞かされて当時は正直???でした。あとになってなかなかすごいもんだと思い直しました。
偶然かみさんも聞いていました。当時はリズムボックスというのが過激な存在でした。
by shirahama (2009-04-12 09:50) 

koshida

 いつもBlog楽しみにして、興味深く読ませてもらっています。
Cabaret Voltaireは最近「Mix-Up」,「The Voice Of America」,「Red Mecca」のCDを購入し聞き直しています。
Chris Watson在籍の頃がピークというのは同感です。

「リズムボックスとテープ」の音は、いわゆるサンプリングや最近のシンセサイザーとは少し違う、なんというか...素材感のようなものがある気がします。

シンセサイザーの登場で変わったように、「フェアライトCMI」が出始めた、1980年以降、そのあたりから音楽も違う時代に入ったのかもしれません。

by koshida (2009-04-12 10:43) 

バンドウ

好きだったグラフィック・デザイナー「Nevill Brody」氏の作品集でジャケットはいっぱい見ていたのですが、うかつにも音はチェックしていませんでした。紹介されているYouTube映像のサウンドはすごいですね。初期の作品をいくつか注文しましたので聴いてみます。
by バンドウ (2009-04-12 11:10) 

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