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ウンスク チン/欠如の軽さ、そしてユン・イサンの至高性(改題2大幅加筆5) [新・美人論]


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ウンスク チン陳銀淑UNSUK CHINは
1961年生まれの、
ヨーロッパを拠点に活動する韓国出身の女性作曲家です。

なにしろヨーロッパでのウンスク チンの評価は高くて、
私には正直、良く分かりませんでした。

ウンスク チンは、韓国の現代音楽家の姜碩煕(カン・スキ)の弟子です。
ソウル大学で、姜碩煕(カン・スキ)に学んだ後、
ドイツに留学後、ハンブルクでジェルジ・リゲティに学んでいます。

ジェルジ・リゲティは、シュトックハウゼンと並ぶ前衛音楽の巨匠です。
が、名前だけで、私は聞いていなかったのですが、
このウンスク チンをお勉強するために、
下記のアマゾンのアルバムを試聴しましたが、
印象的には、ウンスク チンへの連続性を感じさせます。

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ジェルジ・リゲティ(1923-2006)は、ハンガリー系ユダヤ人作曲家。
ヒトラーのナチスとスターリンのソヴィエト体制の2つに苦しめられ、
モダンな音楽を徹底的に禁止される抑圧の中から出てきた作曲家です。

こういう政治的な抑圧の中で音楽を展開したのには、
ドミートリイ・ショスタコーヴィチがいますが、私は大好きです。

日本で、芸術を追求する事自体が、実はリゲティや、
ショスタコーヴィチの受けた抑圧と重なるものを持っているからです。

ピクチャ-10.jpg
今回見つけた本で、読みたいと思いました。

さて、ウンスク チンに戻ります。
ウンスク チンの先生であったカン・スキ(姜碩煕)は、
同じく韓国の現代音楽家のユン・イサン(尹伊桑 /Yun I-sangの弟子です。

ユン・イサン(尹伊桑 /Yun I-sang)をYouTubeで見つけました。
これが、最初静かで、ゆっくりですが、もの凄く良いです。

ユン・イサン(尹伊桑 /Yun I-sang)の音楽
《想像界》の眼で《超次元から第41次元》の《真性の芸術》
《象徴界》の眼で《超次元から第41次元》の《真性の芸術》
《現実界》の眼で《超次元から第41次元》の《真性の芸術》

《想像界》《象徴界》《現実界》の3界をもつ重層的な音楽
気体/液体/固体/絶対零度の4様態をもつ多層的な音楽

《シリアス・アート》《ハイアート》
《非-実体性》のある音楽

シニフィアン(記号表現)の音楽
《透視画面》的音楽、『オプティカル・イリュージョン』的音楽、【A級音楽】


シニフィアン(記号表現)の音楽であるという意味では、
産業社会の時代の音楽の制約に内側にいますが、しかし、
その制約性をカッコに入れれば、
ここにあるのは、人間が達しえる至高の音楽です。
すばらしいものです!

つまり韓国の現代音楽の巨匠の系譜で言えば、
孫にあたるのが、
ウンスク チンです。

ウンスク チンについては、
数年前に、私の現代音楽の先生である柏原孝昭に
教えられて聞いていたのです。

韓国人女性の作曲家の西欧オペラという、
フェニミンな韓国的な軽さが新鮮で、
1990年代の現代音楽という感じで、
柏原さんからいただいたCDが1990年代〜2002年の
音楽が入っていたので、
そう感じていました。

いままでの現代音楽にはなかった、
爽やかさ、明るさがあったのです。
しかしその明るさが、《第41次元》性を持った、
色彩のある闇の明るさと、美しさの醜悪さとでも言う、
奇妙なものであったのです。

しかし画像無しで聞いているのと、
このYouTubeの画像で見るのとは、
ずいぶんと納得の仕方が変わります。

こういう人形劇を見ると、
その人気と音楽の軽さと、
《第41次元》性が納得の行くものに、
なったのです。

ウンスク チン/UNSUK CHINの音楽
《想像界》の耳で《第41次元〜11次元》の《真性の芸術》、《第10〜超次元》は無い
《象徴界》の耳で《超次元〜7次元》の《真性の芸術》、《第8〜41次元》は無い
《現実界》の耳で《超次元〜7次元》の《真性の芸術》、《第8〜41次元》は無い

《想像界》《象徴界》《現実界》の3界をもつ重層的な音楽
気体/液体/固体/絶対零度の4様態をもつ多層的な音楽

《シリアス・アート》《ハイアート》
シニフィエの音楽と、シニフィアンの音楽の同時表示

《透視音楽》『オプティカル・イリュージョン的音楽』【A級音楽】

芸術分析をしてみると、改めてヨーロッパでの評価の高さが分かる。
そして《想像界》では、《第10〜超次元》は無い、
《象徴界》《現実界》では《第8〜41次元》は無いといった
欠如を含む事が、軽さを作り出しているのです。

私事で恐縮ですが、先日の私の『不純詩』も、
実は《超次元》《第1次元》はあるのですが、
他のものはないという欠如性がありました。
とりあえず、それで良いと思ったのは、書き込めば欠如を埋める事は
技術的には出来ますが、今ある軽さで、
しばらくは良いと思ったのです。

ウンスク チンの新しさというのは、
実は欠如の軽さに過ぎないのではないか?
そういう事を言うのは、足を引っ張る様な言説でまずいですが、
観客は、常に軽いものを求めるのです。

欠如した軽いものも作ることは重要ですが、
多くのすぐれたものを見てくると、
それはそれだけに過ぎなく思えます。

しかし、それだけであると言えば、
それも間違いなのです。

つまりユン・イサンの至高性の、唯一欠点に彦坂尚嘉は見えた、
その時代の制約を、ウンスク チンは、超えているからです。
つまり巨匠ユン・イサンの音楽が、シニフィアン(記号表現)の
音楽でしか無かったのに対して、ウンスク チンは、
シニフィエの音楽と、シニフィアンの音楽の同時表示を
成し遂げているのです。
ここにこそ、新しさがあります。

さて、最後にウンスク チンの顔です。

39476.jpg
unsuk_chin.jpg
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ウンスク チンの顔
《想像界》の眼で《第41次元》の《真性の人格》
《象徴界》の眼で《超次元》の《真性の人格》
《現実界》の眼で《第41次元》の《真性の人格》

《想像界》《象徴界》《現実界》の3界をもつ重層的な人格
気体/液体/固体/絶対零度の4様態をもつ多層的な人格
《シリアス人間》《ハイアート的人間》

シニフィアン(記号表現)的人間。
『真実の人』

なかなか凄い顔の《第41次元》美人です。
特に眼が凄いですね!



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コメント 7

丈

半眼が素晴らしい、引き込まれますね。
by (2009-05-11 19:38) 

symplexus

ユン・イサン,オーボエと弦楽による四重奏曲の深さをどう
表現したらよいのでしょうか.あまりにも無知で有った現代音楽
のスペクトルの広さの衝撃を何度も反芻しています.
ブライアン・ファーニホウのフルート曲の時もそうでした.
硬質の音をびっちりと敷きつめ,楽器による極限の表現を
追求するブライアン・ファーニホウの場合は通俗の和声は
こなごなに打ち砕かれてしまいます.それがどのように奇妙に
聴こえたとしても,まさに西欧音楽の最良の伝統である音
への全幅の信頼を嗅ぎ取ることは可能でしょう.
 しかし,ユン・イサンはそのような信頼から距離を置いて
いるようにも観えます.音が終わる位置から音を捉えなおす
とも言えるこの視点は東洋のものです.何故東洋がこうなるのか
それは僕にも分かりません.あざとくこれを西洋の視線にさらして
売り込もうというオリエンタリズムはさておくとして,自分が
身をおくこの世界の不思議のことを今考えています.
ユン・イサンが表現しえたものは現実の一片をはるかに
越えたこの宇宙,世界,ここに生きることの不思議そのもの
と思えてなりません.
 うかつにもユン・イサンのような巨人が同時代を生きて
いたということを今まで僕は知りませんでした.彦坂様の
簡潔な紹介は天恵のように失われた不毛を洗い流す
ものでした.改めて感謝申し上げます.
 ユン.イサンの系列にあるウンスク チンですが,この
不思議の国のアリスの一場面はなかなか魅力的なもの
だと思いました.しかし,音楽は深さというよりは軽妙な色彩の
もので強烈な個性は感じなかったのですが・・.
もちろん彼女自身は知的な野生といった趣が有って
天の稀なる配剤が生み出した傑作だと思います.
by symplexus (2009-05-13 00:53) 

柏原

こんにちは、柏原です。
私が陳銀淑・チンウンスクを記憶にとどめたのは、大井浩明によるピアノ演奏を聴いた(NHK-FM)時で、大井はリゲティのピアノソロ作品の全曲演奏会(日本初)を京都でやり(調べたらわかりますが時期失念)、私も聴いてます。私も大のリゲティ ファンであり、リゲティ つながりでした。

大井浩明の音楽活動の90年代初期に「オンガク ノ ススメ 」という現代音楽のコンサートシリーズがあり、塩見允枝子、西村朗などが招待された。私も毎回聴いてますが、青山音楽賞の賞金も注ぎ込む熱中人で敬服しました。近年はクセナキスのCDが好評のようで。( この辺は陳銀淑と関係なしですが。)

と、まあ、私には疎遠だったクセナキスが身近になるのです。

by 柏原 (2009-05-13 01:12) 

ヒコ

symplexus様
コメントありがとうございます。

柏原様
リゲティを、遅まきながら、聞きたいと思っています。また、いろいろ教えて下さい。どうぞよろしくお願いいたします。

クセナキスは、何枚か、特に音響系のものと、打楽器奏者のものはきいています。

by ヒコ (2009-05-13 10:38) 

柏原孝昭

彦坂様
ご返事遅くなったと思いますが。私がリゲティの最高傑作だと思っているのは「アヴァンチュール」(1962)と、その成功に気をよくして創った「ヌーヴェル アヴァンチュール」(1962/65) 3人の歌手と7器楽奏者によるもので、私は関西のコンサートで聴く幸運を得ました。その他、機会をえてお伝えしたいと思います。

お知らせ (ご存知かも知れませんが)、私も清水穣さんから教えてもらったのですが、今夏のサントリー サマーフェスティバル2009にて、コンサート
8月31日(月) リゲティ/時計と雲、シュトックハウゼン/3群のOrc.のためのグルッペン

(清水さんらしく シュトックハウゼンを聴くべしと強く推奨された 。もちろん私も聴くべきと思いますが。)

サマーフェスティバルテーマ作曲家:チン ウンスク のレクチャー及びコンサートが、8月22日、24日、28日にあります。

私も聴きたいですが、平日ですからねえ。それも休日前後。

柏原孝昭
by 柏原孝昭 (2009-05-26 01:15) 

ヒコ

柏原様
情報ありがとうございます。
行きたいですね。
by ヒコ (2009-05-26 17:46) 

TyroneFew

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