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美術市場が一種類しかない息苦しさ(加筆) [芸術鑑定士]

アートコレクター.jpg

『アートコレクター』と言う雑誌があります。
定価/1,000円(税込)
判型/A4変形(297×220mm)
発行部数/5万部
発売元は、主婦の友社です。

なにもこれが今日の日本の美術市場を体現していると、
私が思っているのではありませんが、
日本の美術市場が、私の言う《6流》で埋め尽くされていることを
示す、サンプルではあります。

<掲載内容>
特集1【これが欲しい! 若手アーティストBest50】
天明屋尚/諏訪敦/町田久美/日野之彦
土屋仁応/野口哲哉/石田徹也

簡単に彦坂尚嘉の格付けと芸術鑑定をしてみます。

こまかすぎて、煩雑ですが、しかし芸術そのものは複雑ですし、
見る人の眼の性格によって、違うものなのです。

人間には、概略的には3種類の眼の人があります。
想像界の眼を持つ人が、60パーセントの人。
象徴界の眼を持つ人が、20パーセント。
現実界の眼を持つ少数の人。

もちろん、これら3つの眼を組み合わせて持つ人がいます。

ですので、3つの眼で見た判断を併記しています。
少しでも、各自の芸術判断のご参考になればと思います。
それとご自身の眼が、どういうものなのかを理解する、
ご参考にしてください。


天明屋尚.jpg
天明屋尚 平面
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
想像界の眼で《1流》
象徴界の眼で《6流》
現実界の眼で《6流》
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
想像界の眼で【芸術】
象徴界の眼で【イラスト的エンターテイメント】
現実界の眼で【イラスト/エンターテイメント】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
《固体美術(≒前‐近代美術)》
《気晴らしアート》
《創造的ではない》
《ローアート》



諏訪敦.jpg
諏訪敦 画家 テンペラを使っています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
想像界の眼で《超1流》
象徴界の眼で《6流》
現実界の眼で《6流》
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
想像界の眼で【芸術】
象徴界の眼で【芸術的芸術】
現実界の眼で【絵画的エンターテイメント】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
固体美術(≒前‐近代美術)
画題はシリアスだが、絵画制作的には《気晴らしアート》
《創造的ではない》
《ローアート》



町田久美.jpg
町田久美 日本画
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
想像界の眼で《1流》
象徴界の眼で《6流》
現実界の眼で《6流》
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
想像界の眼で【芸術】
象徴界の眼で【芸術的エンターテイメント】
現実界の眼で【芸術】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
液体美術(≒近代美術)
《気晴らしアート》
《創造的である》
《ハイアート》


日野之彦.jpg
日野之彦 油彩画
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
想像界の眼で《6流》
象徴界の眼で《6流》
現実界の眼で《6流》
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
想像界の眼で【芸術】
象徴界の眼で【イラスト的エンターテイメント】
現実界の眼で【イラスト】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
固体美術(≒前‐近代美術)
《気晴らしアート》
《創造的ではない》
《ローアート》


土屋仁応2.jpg
土屋仁応 彫刻
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
想像界の眼で《1流》
象徴界の眼で《6流》
現実界の眼で《1流》
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
想像界の眼で【芸術】
象徴界の眼で【人形的エンターテイメント】
現実界の眼で【人形】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
固体美術(≒前‐近代美術)
《気晴らしアート》
《創造的ではない》
《ローアート》



野口哲哉.jpg
野口哲哉 樹脂粘度による立体造形
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
想像界の眼で《1流》
象徴界の眼で《6流》
現実界の眼で《2流》
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
想像界の眼で【エンターテイメント】
象徴界の眼で【人形的エンターテイメント】
現実界の眼で【人形/エンターテイメント】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
固体美術(≒前‐近代美術)
《気晴らしアート》
《創造的ではない》
《ローアート》



石田徹也.jpg
石田徹也  絵画 故人
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
想像界の眼で《超1流》
象徴界の眼で《6流》
現実界の眼で《6流》
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
想像界の眼で【芸術】
象徴界の眼で【芸術的人権漫画)】
現実界の眼で【だまし絵の系譜の絵画】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
絶対零度の美術(原始美術)
《シリアス・アート》
《創造的でない》
《ローアート》


上記の格付け/芸術判定は、
彦坂尚嘉の芸術眼の判断であります。
ですから私的判断であって、客観的なものではありません。
彦坂の芸術鑑賞の眼が、こう見ていると言う事です。

芸術というのは、各自の私的な眼の探求の世界ですから、
あくまでも参考にしていただきたいだけで、
客観的に規定しているものではありません。

こうして見ると、
この雑誌の編集部は、
それなりに頑張って、作家をピックアップしている事は分かりますが、
《6流》性と《固体性》が目立ちます。

《液体の時代》、つまり近代が終わって、
時代そのものとしては《気体の時代》になっているにもかかわらず、
循環の時代でもあるので、
前近代という《固体の時代》に回帰した、
《骨董的》な作品が、受けているのです。

100歩ゆずって、そういう趣味があっても良いですが、
しかし《気体美術》もほしいし、
象徴界の眼で見て《超1流》の美術も、
私は欲しいのです。


そして、さらに『アートコレクター』誌は、
次の様な特集もやっていました。

○若手作家を探そう!
1) 美術館で探す
2) 公募美術賞で探す
3) 画廊で探す
4) アートフェアで探す
5) オークションで探す

今、若手作家の青田買いが盛んで、
美術大学の卒業展には、
商業画廊がやってきて、
卒業生と契約をするようです。
契約の付かなかった卒業生が、
大声をあげて泣いたという話を聞きました。
もっともこういううわさ話も、
今時の都市伝説かもしれません。

そうであったとしても、
こういう都市伝説が、
まことしやかに語られる時代になったのです。

しかし昔のパリの画商は、
20歳代の若いアーティストは、信じてはいけないと、教えました。
若い作家は、アイドル歌手と一緒で、
寿命が短い人が多いのです。

昔ですが、クロード岡本という若手が、
騒がれましたが、
消えました。

最近では、
天才の誉れが高かった中原浩大が、
事実上作家ではなくなりました。

若手を信じてはいけないと言うのは、
基本であって、
そういう基本を無視して、
若手の青田買いをするツケは、
回ってきます。

最初に述べた様に、
しかも日本の美術市場では《6流》の芸術ばかりが、
闊歩しています。
こういうのは、実は不健康なのです。

さて、日本経済の悪化とともに、
美術市場は、値下げを始めました。
今日聞いた話ですと、草間弥生さんやRさんの作品が、
0号や4号サイズの作品で、
一挙に100万円下がったと言うのです。

もちろん、これは一例であって、
全体がどうなるかは分かりませんが、
日本の政治と経済の墜落の中で、
美術だけが、安泰にいる訳ではないのです。

さて、もう少し、健全な美術というか、
まともな《1流》美術や、
《超1流》の美術だけを扱う画廊がないものか?

ところが日本には、
どうやら無いようなのです。

どこの画廊も同じ様に象徴界の眼で《6流》作品を並べている。
あきれ果てるほど、同じなのです。

まともな象徴界の眼で《1流》や《超1流》の作品を、
欲しいという少数の人々も、いるはずであります。

この人たちを発掘する努力と言うのも、
重要であると思います。


タグ:美術市場
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下村観山 [芸術鑑定士]

下村観山1.jpg
下村観山:木の間の秋 (1907)

下村観山2.jpg
下村観山:弱法師(よろぼし) 6曲1双 絹本金地着色 大正時代 重文

東山魁夷の《6流》芸術というものが、
《想像界》のイラストレーション絵画として、
一つの戦後の基準をと言えるとして、

もう一つ、困った基準を作っているのが、
下村観山の絵画である。
これも《6流》のペンキ絵なのだが、
この絵画は、見える所しか、描けていない。

上の画像の「木の間の秋」の
画面左の太い木の幹を見て欲しいが、
この幹の後ろ側が描けていない。

描けていないのは、この幹の後ろだけでなくて、
中央部の明るくなった空間も描けていないのである。

こういう指摘は、
私の独創ではなくて、
絵画を描くときの基本なのだが、
これを教えるのは、難しいのである。
いじめながら、学生を泣かせないと、なかなか理解出来ない。

こういう古典的な絵画の基本は、
もはや意味は無いと言うのが、現代美術の多くの人の意見だが、
それは間違っていると言うのが、私の意見である。
間違っていると言う人と、基本的な事をきちんと話そうとすると、
みんな逃げるのである。
言おうとしているのは、
結果として、日本の美術教育は失われ、
今日美術大学では、まともな教育は行われていないのである。

さて、そうしたペンキ絵のお手本として、
この下村観山の絵は、今日でも、根強いファンがいるのである。

その理由として、一つはこの絵画が、
近代絵画ではなくて、前ー近代絵画であることがある。


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東山魁夷(加筆) [芸術鑑定士]

東山魁夷1.jpg

東山魁夷10.jpg

さて、この後の画像の作品は、
東山魁夷のデビュー作である「残照」である。
1947年の作品で、日本の敗戦と深く関わった絵と言えるもんで、
「国破れて山河あり」という中国盛唐の詩人である杜 甫の詩を描いたかの様な絵画である。

絵画としての評価は厳しいものがある。
山波のつならる大空間が描けていないのである。

想像界の眼で、《1流》の絵画。
しかし、それでは駄目なのである。

象徴界の眼で、《6流》《6流》《6流》

現実界の眼で、《6流》

東山魁夷は、ドイツのベルリン大学(現フンボルト大学)に留学しているので、
ヨーロッパの深いイリュージョンの絵画を習得して来ていると考える向きが有るが、
残念ながら東山魁夷の絵画は、本物の深いイリュージョンではなくて、
偽物の、だまし絵の絵画空間である。
だから《6流》なのである。

このことが露骨に現れているのが、
1950年に発表された《道》である。
多くの日本人は、この作品を名画と考えているが、
それは真性の深いイリュージョンの絵画を知らないからである。

想像界の眼で、《1流》の絵画。

象徴界の眼で、《6流》《6流》《6流》

現実界の眼で、《6流》

見る人の眼が、子供の眼であって想像界の眼であれば、
東山魁夷の絵画は、すぐれた《1流》の絵画に見えるはずだが、
しかし、すぐれた鑑賞眼を持つ人から見ると、
東山魁夷の絵画は、芸術的には《6流》の低い作品と言える。

絵画を見る目を、多くの人に聞かれて試みて来ているが、
難しいのである。
昔は石膏デッサンで、先生に怒られ、せっかく描いたところを、
布で消されて、悔し泣きしている時に、急に理解出来ると言った、
サディスティックな教育で、ようやく、絵画の本当の空間が理解出来るのである。

肉眼で見る眼のリアリティでは駄目なのである。
このことを、だから教えるのは無理なのだが、
ここでは、分かりやすくするために、
画像を、フォトショップで、明度とコントラストを強くして、
道の絵を見てみる事にする。


道/コントラスト.jpg


上の画像で分かる様に、
道の方が、空よりも明るくなっている。
そのために《6流》絵画になっているのである。
《原始平面》の絵画と言うのは、こういうものを言うのだが、
それでも多くの人は、
だからこそ、この絵は素晴らしいと言うであろう。

ここで、外国の絵を参照してみる事にする。
ハドソンリバー派のトーマス・コーレの絵画である。

ハドソンリバー.jpg

ハドソンリバー派というのは、アメリカの19世紀半ばのニュヨークで発展した風景絵画のエコールだが、
東山魁夷並の《6流》のひどい絵もたくさんあるのだが、
しかし中心作家のトーマス・コーレや、
アシャー・B・ドュランの絵画は象徴界の眼で《1流》という、すぐれたものである。

ハドソンリバー2.jpg

繰り返し強調するが、
Aクラスの絵画と、Bクラスの絵画を見分けるのは、
専門家でないと難しいのだが、
ここでは簡単にするために、空の明るさに、問題を絞ってみる。
トーマス・コーレの絵画を、フォトショップで、コントラストと明度を強くしてみると、
空が、明るいのである。
空は発光しているのであって、
山は反射光で見えるのだから、
明るさが違うのである。

ハドソン/コントラスト.jpg

東山魁夷の道の絵画は、
こうしたものと比較して分かるように、
発光体の空よりも、道の方が発光している東山魁夷の絵画は、
決して西洋絵画の正当な風景画ではないのである。

何故に道が、一番明るくなっているのか?
それは風景を描いているのではなくて、
道をイラストとして描いているからである。
だから《6流》なのだが、
だから通俗の人の好みのもものになるのである。
これはしかし絵画ではなく、イラスト絵である。

しかし、非合法せいがあるので、デザインではなくて芸術である。
そして非実体的なので、エンターテイメントではなくて、芸術である。

しかし、なんとも《6流》の日本画はつまらないのである。
《6流》芸術じゃ、しかし、何故にだめなのか?

それは疑いが無いからである。
これが道の絵になってしまっていて、
その事が、普通の人の常識にあっている様に描かれている。
新しい、未知性が無い。
未知なき道は、凡庸なのである。

戦前の日本画には、すぐれた《1流》や《超1流》の日本画がたくさんあったのだが、
それが敗戦後は、《6流》ばかりが有名になるのである。
敗戦によって、日本の絵画は《6流》のBクラスアートに転落してしまうのである。






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