箱根/熱海から帰って来ました。
泊めていただいた別荘にネット環境が無くて、
このブログは更新できませんでした。
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2009年1月11日朝10時に箱根湯本で待っていると、
南泰裕さんが来て、二人で喫茶店に入りました。
そこで建築系ラジオの話をしました。
視聴者の全国にまたがる広がりを、図で見せられました。
それは世界にまで広がっていて、外国でも聞いているのです。
建築系ラジオが面白くて、美術系ラジオをやりたいけれども、
しかし、美術には、人材がいないと言う様な話を私がしたのですが、
美術系ラジオというアイディアは受けたのです。
若い人を募集してやろうという話になりました。
五十嵐太郎さんもきて、メディアの話になりました。
雑誌がいろいろとつぶれて来ているのです。
『ダカーポ』、『月刊現代』、『読売ウイークリー』・・・。
知人が『読売ウイークリー』の記者だったのですが、
『読売ウイークリー』が休刊になって、
読売新聞社を退社してフリーになったこと。
驚きます。
五十嵐さんの話ですと、建築雑誌も、いろいろつぶれて来ています。
私の学生時代にカッコよかった『SD』は、とっくにありません。
戦後すぐにたちあがった『建築文化』も休刊
昨年はINAXの『10+1』、
そしてNTTの『インターコミュニケーション』もが終わり。
外資系の『DETAIL JAPAN』も、あっさり終わり。
『男の隠れ家』とか、
エクスナレッジの
DESIGN ADDCITもなくなりました。
雑誌ではありませんが
アートスタディーズの情報を配信してくれていた『TN プローブ』も
なくなりました。
『TN プローブ』は、大林組の文化事業のひとつとして1995年に活動を
始めたものでしたが中止になったのです。
世界金融危機から大恐慌化している現在は、
本格的に、古い単純系のモダニズムが崩壊を始めていて、
それが雑誌の休刊や終刊になり、
さらに某新聞の廃刊の噂になっている。
そういう中で、建築系ラジオというのは、
メディアとして小さいけれども、面白いと思うのです。
美術の人の多くは、インタネット配信のラジオなんかには、
興味がないだろうから、
美術系ラジオを、
建築系の人に向けてやれればと思います。
そうすることで、美術の人も聞いてくれる様になると思うのです。
とにかくアートスタディーズでもそうですが、
美術の内側では、やろうとしても無理だと言う事を、
私は学ばされたのです。
美術の外部で、美術をやるしか無いのです。
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新堀学さん、松田逹さん、山田幸司さん、
そして久しぶりに浜田さんにも会って、
総勢11名、3台のレンタカーで出発。
私の車は、若い建築家の寺崎悠真さんが運転してくれました。
紅一点の浜田さん、
それとこのツアーをコーディネイトしてくれた遠山元気さん。
建築の話や、美術の話をしながらで、楽しいドライブでした。
最初の建築は、富士屋ホテルです。
中でお茶をしようとしましたが、
コーヒー900円で高い。
ビールが850円でこれを飲みました。
明治11年開業の高級クラシックホテルですが、
《想像界》の折衷建築。
写真で見ても面白いが、実物も、面白い事は面白いです。
日本の西洋館の安っぽさはありますが、
それなりに良く作ってある。
しかし
プロポーションもおかしいし。
かなりひどいオリエンタリズムで、外人受けのための建築。
早いポストモダン建築と通俗論的には言えるけれども、
しかし固体建築であって、厳密にはポストモダンではない。
私は好きにはなれなかった。
《第21次元》のキッチュ建築
固体建築(=前近代建築)
《想像界》の建築
《気晴らしアート建築》
《ローアート建築》
次は、ポーラ美術館。
2002年9月に開館で、建築学会賞を受賞している評価の高い建築です。
写真でみるとカッコいい建築ですが、
まあ、社会的に評価が高いのは分かりますが、
私見では、ゼネコン臭い、つまらない建築です。
何よりも実体的で、建築の側だけをつくっていて、
非実体的な空間が美しく対象化されていないのです。
施行というか、細部の処理が疑問が多い。
レストランでワインを飲みましたが,柱の関係がおかしい。
《想像界》の眼で《1流》のデザイン的エンターテイメント。
《象徴界》の眼で《6流》のデザイン的エンターテイメント。
《現実界》の眼で《1流》のデザイン的エンターテイメント。
液体建築(=近代建築)
《想像界》の建築。
《気晴らしアート建築》
《ローアート建築》
こういうゼネコン建築のご都合主義的なかっこよさを見ると、
つくづく《象徴界》が《第6次元》というのは、
まずい事だと、思い知らされる。
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竹山聖の強羅花壇。
高級旅館です。
これは《超次元》の素晴らしい建築。
気体建築。
《象徴界》の建築。
《気晴らしアート建築》
《ローアート建築》
建築家・竹山聖は1954年生まれですが、
1990年36歳の時に作った建築。
バブル時代の企画らしく,非常に贅沢な空間と建築でした。
これは写真では、分かりません。
《超次元》で素晴らしいのですが、
何かが物足りないのは、
《シリアス・アート建築》ではないからでしょうか?
ザ・プリンス箱根は、村野藤吾の87歳の建築です。
これは凄い!
はっとする美しさです。
写真では分かりませんが、この入り口はきれいです。
南泰裕さんと、いいねと、話します。
《想像界》の眼で《第1次元》の《真性の芸術》
《象徴界》の眼で《第1次元》の《真性の芸術》
《現実界》の眼で《第1次元》の《真性の芸術》
《想像界》《象徴界》《現実界》の3界をもつ重層的な建築
気体/液体/固体/絶対零度の4様態をもつ多層的な建築
《シリアスアート建築》《ハイアート建築》
《第1次元》、つまり《1流》建築なのですが、
しかしその完成度の高さと、《真性の芸術》性故に、美しい。
人々が深く愛することのできる、建築の美しさに満ちています。
こういうふうに、良い建築を、
中まで歩いて鑑賞する喜びと言うのは、
たまらないエクスタシーです。
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田村誠邦氏の別荘で、すき焼きで新年会です。
美味しかった。
建築系ラジオの中で、美術系ラジオもやろうという話になって、
その予告編もラジオ収録しました。
ほかにもラジオを数本収録。
浜田さんなどのスライド上映とディスカッションがあったのですが、
面白かったです。
そしてさらに進んで、議論が沸騰します。
これがなかなかの迫力で、建築をつくるということをめぐって、
激突する討論が展開されて、熱い会になりました。
建築を学んだ人々の、生身の切り傷がむき出しになる議論で、
面白かったですが、人間の深い闇も見えて、勉強になりました。
建築を作ろうとする欲望を巡るドラマは、
美術以上に過酷で、社会的欲望との相克を示していたのです。
(翌日に、つづく)