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作品の複数性(1) [アート論]

私自身は、1970年代に発表を始めています。

その時期というのは、
画廊での個展が中心の時代に移って行く時なのですが、
一つの個展に同じ様な、作品が並んでいるという光景というのが、
普通でした。

一つの作品を展示している様なもので、
それが同じ様なものが複数作られて展示されている事に抵抗があったのです。

その時代は、作品が今の様に売れている時代ではなかったので、
制作そのものの、ある形式性が強くありました。

私自身はそういう光景に抵抗があって、
作品を1点1点違えて、多様につくることに、
こだわって行きました。

モダニズムの中には、制作性の一回性の神話があって、
同じ事を繰り返さないと言う、
そういう価値観がありました。

私見で言えば、モダニズムというのは、
川が流れる様に、一方方向に流れて行く形で歴史がつくられたので、
そういう歴史観では、繰り返しが無いし、
そして先頭の部分が前衛を形成したのです。

彦坂史観では、1975年に1回目の近代の終焉が来ます。
そうすると、そうした一回性も消えるし、
前衛の時代も終わります。

代表的なのはドナルド・ジャッドであって、
1960年代の同じ様な作品を、1970年代に繰り返し制作するのです。

私の私観では、ドナルド・ジャッドは、
《象徴界》しか無い作品であって、
そういう意味ではモダニズムの代表作家です。

そのドナルド・ジャッドが、同じ作品を繰り返し作って、
作品展開というものが、事実上無くなるという形になった事で、
モダニズムの終焉の作家の一人に位置づけられます。

同時に、同じものを繰り返し制作したという事で、
ポストモダンの最初の作家なのかもしれません。

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