SSブログ

ウイリアム・ブレイクと縷衣香Ruiicoさんの絵本とスヴェーデンボリ(改題) [アート論]

blake_ancient_of_days.jpg
Great-red-dragon-L.jpg

縷衣香さん、Riicoさんという方から、
3冊の絵本と、ご著書をいただいた。


1.jpg
7andy_31608568.jpeg
HTbookCoverImage.jpeg
縷衣香Riicoという、
お名前もそうなのだが、
学生時代に、神的な体験をなさった方ということで、
ちょっと引くところはあるのですが、
同封して下さったいろいろなチラシの中の、
手芸のものが、美しくて、印象に残りました。

近代以前だと、神的体験というのは、重要で、
それこそ旧約聖書は、多くの予言者によって書かれた書物です。
この場合の神というのは、《象徴界》の領域です。
彦坂理論では、神と言うのは、言葉=象徴界なのです。

むずかしくしないで、今の問題を書くと、
時代が変わって、科学の時代である近代になると、
こうした「神」の問題が、変質するようになります。

美術関係で言えば、ウィリアム・ブレイクが、
その代表でしょう。
作品は、特に手彩色の銅版画が、大変に美しいものです。

ウィリアム・ブレイクは印刷工です。
あたらしいレリーフ・エッチングの手法を発明して制作した人で、
そして詩と版画を本の美術として作り出した人で、
偉大な総合性を持つアーティストであります。

以前に、上野の西洋美術館で、ウイリアム・ブレイク展が開かれて、
実物の本を、たくさん見て感動しました。


今で言えば派遣労働をしながら、
自分で刷った単色印刷に、手彩色で描いていたアーティスト、詩人、
そして霊能者です。

この場合のウイリアム・ブレイクの幻視しているのは、
《想像界》なのであって、近代以前の《象徴界》における言語としての神では
ないのです。
ですから、彼の書くイラスト画が、ミケランジェロの絵画の模倣として
現れて、独創性がないのも、この《想像界》の領域だからです。
もっともブレイクが、彫刻を学んでいると言う事も、重要なことですが、
ミケランジェロの模倣の連鎖としてしか、
イラスト画の制作が出来ないのは、《想像界》の人であるからです。

William_blake_beatrice.jpg
william_blake_house_shop_postcard.jpg
william_blake_newton.jpg
《想像界》の眼で《第8次元》の《真性の芸術》
《象徴界》の眼で《第8次元》のデザイン的エンターテイメント
《現実界》の眼で《第8次元》のデザイン的エンターテイメント

《想像界》の美術
固体の美術

《実体的な美術=エンターテイメント》

《シリアス・アート》《ローアート》

シニフィエ(記号内容)の美術
《原始平面》『ペンキ絵』【B級美術】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

絵画作品としては『ペンキ絵』で、
《実体的な美術=エンターテイメント》で、
《第8次元》のものです。
しかも《ローアート》です。


しかし、絵だけで切り出して、
このように芸術判断をするのは、間違いです。
ウイリアム・ブレイクのつくりだしたものは、
詩と版画が総合された本の美術作品であって、
その丸ごとで、評価をするべきものであるからです。
本としてみると、《超次元》であると、私は思います。

それでも絵だけで見ると、《第8次元》であるのは重要です。
《第8次元》というのは信仰領域です。

神の問題が、《第8次元》に限定されてしまうのは、
近代が科学の時代だからです。

ブレイクは、1757〜1827の人ですから、
実は近代という時代に入ってからの幻視者です。

つまり科学という《現実界》が上部構造になる事に対する、
反動的な反発の突出したものだと、私は思います。
反動が、《想像界》に出現するために、
本来の世界宗教性は、消えて、
《想像界》の呪術性を帯びたものになります。

つまりキリスト教が、呪術に退化してしまうのです。

私たちが現在目にする宗教のいかがわしさと言うのは、
こうした原始的な呪術に、本来の宗教が退化してしまって
いる故のものです。

william_blake_by_thomas_phillips.jpg
ブレイクの肖像画
想像界》の眼で《第8次元》のデザイン的人格
《象徴界》の眼で《第8次元》のデザイン的人格
《現実界》の眼で《第8次元》の《真性の人格》

《想像界》の人格
固体人間
《シリアス・アート的人格》《ローアート的人間》

シニフィエ(記号内容)的人間。
『真実の人』

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

肖像画で見る限り、《想像界》の人です。
人格的に、傑出した人ではありません。

しかし《現実界》で《真性の人格》者であるというのは、
印刷工をやり、限られた中で、新しい版画技法を発明していくという、
最大を実現して行く、
ブレイクの偉大性を支えているものです。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ウイリアム・ブレイクに影響を与えたのが、
エマヌエル・スヴェーデンボリです。

Emanuel_Swedenborg2.jpg
《想像界》の眼で《第8次元》の《真性の人格》
《象徴界》の眼で《第1次元》の《真性の人格》
《現実界》の眼で《第1次元》の《真性の人格》

《現実界》の人格
液体(=近代)人間
《シリアス・アート的人格》《ハイアート的人格》

シニフィアン(記号表現)的人間。
『真実の人』

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
エマヌエル・スヴェーデンボリは、 1688〜1772年のひとで、
18世紀の代表的な、すぐれた科学者なのです。
それも半端なものではなくて、その当時のヨーロッパ最大の学者であり、
彼が精通した学問は、数学・物理学・天文学・宇宙科学・鉱物学・
化学・冶金学・解剖学・生理学・地質学・自然史学・結晶学などで、
結晶学については創始者であったというのです。 

しかも飛行機の発明者です。
動力さえあれば実際に飛行可能と思えるような飛行機械の設計図を
歴史上はじめて書いたのはスヴェーデンボリが26歳の時であり、
現在アメリカ合衆国のスミソニアン博物館に、
この設計図が展示保管されているのです。

この科学者が、霊能体験を経て、
キリスト教神学の、近代的な再編をなします。
この影響は多大で、日本ではキリスト教の内村鑑三や、
禅宗の鈴木大拙にまで、及びます。

そのキリスト教神学再編の中枢は、
三位一体論を否定して、
キリストと神を合一させたことです。

つまり1を原理とする価値観に、キリスト教を再編したのです。

近代を主導したのは、物理科学でしたが、
その原理は、1という単純さに、すべてを還元しようとする
純粋主義だったのです。
スヴェーデンボリのキリスト教神学の再編は、
この近代物理学の原理への還元であった、私は思います。

つまり神という存在を、普遍的な1へと還元する事で、
汎神論的キリスト教を打ち立てたのです。

つまり科学の時代の宗教の姿を示したのです。

私見では、
科学という《現実界》主導の時代に、
《現実界》的認識の下に、新たな《象徴界》《想像界》の再編を
試みた事で、伝統的なキリスト教を刷新しようとしたのです。

同様な事は、現在の情報革命の中でも行われています。

情報科学が、現在の上部構造を形成しているが故に、
古くなった科学や、宗教が、
この情報科学による新《想像界》の2を原理とする構造に、
再編する動きがあるのです。

宗教についても、
コンピューターの元での宗教の復活の書は、
いくつも書かれていて、なかなかすぐれています。
入門書としては、
岩波書店の『21世紀問題群ブックス』シリーズの中の、
西垣通著『聖なるヴァーチャル・リアリティ』が良いです。

私は、この本の前に、美術手帖で紹介されていた、
コンピューターの中の神とか言う本を読んでいます。
いま、見つかりませんが、
そうした視点をなぞった通俗書が、
鈴木光司著『リング』3部作の最後の『ループ』です。

つまり現在は、情報科学が、最上部構造を形成していて、
それが新《想像界》で、
シニフィエ(記号内容)化した想像界なのです。
このシニフィエ化した《想像界》のもとで、
《現実界》も《象徴界》も再編されて来ているのです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

縷衣香Riicoさんですが、
さて、いただいたご本を芸術分析をするのは、
失礼であると思いますが、
きれいな絵本ですの、興味があります。


1.jpg
以下の芸術分析は、あくまでも挿絵のものです。

《想像界》の眼で《第41次元》の《真性の芸術》
《象徴界》の眼で《超次元》の《真性の芸術》
《現実界》の眼で《超次元》の《真性の芸術》

《想像界》《象徴界》《現実界》の3界をもつ重層的な表現
気体/液体/固体/絶対零度の4様態をもつ多層的な表現

《シリアス・アート》《ローアート》

《実体的な美術=エンターテイメント》

シニフィエ(記号内容)の美術
《原始平面》『ペンキ絵』【B級美術】

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【B級美術】の『ペンキ絵』で、
《実体的な美術=エンターテイメント》ではありますが、
しかし《第41次元》《超次元》の《真性の芸術》であって、
たいへんに、美しいものです。

たいしたものです!




nice!(2)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 2

コメント 3

縷衣香

早速、取り上げて下さってありがとうございます。
シュール・リアリストの自動書記から、アウトサイダー・アートとも言われますね。又、シャガールなども天使を見たというので聖母とキリストに操られた私のアートもありなのでしょう!
友人の霊視によると2位(天使の人名詞)の天使が付いていて、1位は経済的な管理をしていて首からがま口をぶら下げていて、もう1位の天使は箒を持っていて、私の行く先を清めてくださっているそうです。
B級って好きです。
女・子供のアートとか、庶民の生活の中に存在しているアートが心がけかな?
「二十四孝物語」絵本の見本が届きましたが、このテーマも北斎、国芳が描いてます。狩野派も描いてますね。軽んじられているものを愛すというのもテーマのひとつです!
ありがとうございます!
by 縷衣香 (2009-03-07 14:54) 

縷衣香

 追伸
 今、気がつきましたが、名前はRuiicoです。ハンガリアン・スペルです。
そして、縷衣香は『不思議な国のアリス』の著者のルイス・キャロルのもじりにもなってます。

 而立書房は草間弥生さんの文学を数冊出している出版社で森美術館で購入した時に数冊足りなかったので直接に出版社さんから購入して御縁を頂きました。
 草間さんの御著書によると、菫の花が「連れてって、連れてって!」などと話しかけてきたそうです。私は植物から話しかけられたことはありませんが、理解できます。

 毎日、楽しいアートの日々を心がけてます!
by 縷衣香 (2009-03-07 17:36) 

ヒコ

縷衣香 様
コメントありがとうございます。
おなまえのスペル間違えて、失礼致しました、訂正いたしましたので、お許しください。
B級って、失礼な言い方で申し訳ありませんが、実は私自身は、A級もB級も両方とも見たり聞いたりします。基本的には差別はありません。
縷衣香さんのお仕事は、たいへんにきれいだと思います。私も最近は制作が楽しくて、幸せになっているので、縷衣香さんの楽しいアートの日々と言うのも、理解できるものです。


by ヒコ (2009-03-09 13:43) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。