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エスタンプとアートの商品化(その2)【加筆1】 [アート論]

一人のアーティストを7段階に分けて考えてみる。
具体的には自分のことを考えている。

1・なにものでもない
2・シニフィエの段階
3・最良の作品
4・まあまあの作品
5・駄作
6・複製=エスタンプ
7・空気

美術マーケットを動かしているものは、
空気である。

その空気に接しているのが、エスタンプであると言える。

そしてエスタンプに接しているのが、
駄作である。

ポロックの所で述べたように、
一番売れているのは、最悪の作品なのである。
それは《6流》であり、合法作品であり、
さらに実体的な作品、
そして〈想像界〉の美術である。
こうした駄作こそが、美術の母なる大地である。

したがって、高みを捨てた作家は、
この母なる大地の駄作ばかりを作って、
そして美術市場で成功を収めるのである。
不思議なものだが、
しかし人間の社会というのは、
実に不思議にできているのである。

だから、たとえば彦坂尚嘉を、
商品化しようとしてエスタンプを企画するのなら、
彦坂尚嘉という作家全体を考えてみる必要があるのである。
それは難しいと、多くの人は逃げる。
最近、さすがに良く分かってきているが、
画商も、批評家も、難しい問題は考えない。
コレクターも同様であって、
物事を正面からは考えない。
従って、自分については、
自分で考えるしかない。

ところがラカンが指摘したことは、
人間は自分自身は認識できないというか、
正確には鏡像としてしか認識できない。

では鏡像として、どのように認識できるのは?

単純に、彦坂尚嘉は、
フロアイベントでデビューした作家である。
従って、その記録写真を作品かすることと、
それをエスタンプ化することが、重要である。
その時に、エスタンプ化を、《6流》で、
合法化、実体化、〈想像界〉の美術化をしておく必要がある。

もう一つ、ウッドペインティングである。
この左右対称の作品で、
駄作をつくる必要がある。
《6流》で、合法化、実体化、
そして〈想像界〉の美術とした、
最悪の駄作を生産する必要がある。
できればさらに、このポスターをつくる。

こういう事が企画できて、
アートマネージメント化できる人材は
いないであろうか?
タフで、鈍い、悪いマネージャーを募集します。
ぜひ、自信のある人は応募してください。

【加筆1】
ポロックの一番人気である最悪の作品「ブルーポールズ」の
路線を踏襲したのが、
ダミアンハーストであった。
彼の作品は《6流》、
そして実体的で合法的、
しかも〈想像界〉の美術である。
まったく「ブルーポールズ」同一なのである。

それに対して日本の村上隆は、
《6流》を選ばなかった。
〈13流〉を選んだのだ。
〈13流〉というのは、喜劇とかお笑いの世界である。
以下は同様である。
ダミアンハーストと同じ構造をしている。

さらに中国現代美術の一群の作家達は
〈21流〉を選んだ。
選んだと言うよりも、
もともと〈21流〉になっていたのである。
以下は同様である。
ポロックのブルーポールズと同じ構造をしている。

中国の美術家の中でも、
もしかすると例外なのは、
蔡国強である。彼はクリストの影響なのかどうか、
《6流》である。
以下は同じ構造である。

こうして、1991年以降登場した、
大成功のアーティストたちは、
極めて合理的に、そして理性的に、
社会的な母なる美術の大地に忠実の作品を展開したのである。

さて、こういう時代に、
何を考えるのか?

美術は、もはや起業であるのか、
あるいは趣味か、
さもなくば《下流であることの存在証明》であること以外には、
あり得なくなったときに、
それ以外の脱出の道はあるのであろうか?


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