葬式の変遷について [歴史／状況論]
小さいときから病弱で、
今までに４回死に損なっている。
だから私はこんなに長く生きられるとは思っていなかった。
だから私よりも早くに死んでいった友人達に対して、
何とも申し訳ないというか、不思議な気がしている。
昨年は古い友人の映画監督・渡辺哲也氏が亡くなった。
この人は197１年に私が、
自宅でのフロア・イヴェントに来た２８人の観客の一人であった。
それ以来の友人で、かれと映画監督の松本俊夫氏の事務所で、
なんの勉強会か忘れたが、集まりをもっていた記憶がある。
一番最初に死んだのは写真家の山中信夫で、
彼はニューヨクで死んで、私が葬式から火葬までした。
それから暗宙忌という７回のともらいのコンセプトをつくった。
もっともこれは堀浩哉が横取りして、彼だけの手柄になっている。
まあ、それもよいけれども。
東野芳明氏は、私の恩師で、
彼の葬式には行った。
これには堀が来ないのは、驚いた。
多摩美葬だったから、まあ、良いのかもしれないが。
美術評論家の中村啓治氏には、
生前に葬式をどうするのか、聞いた。
彼の答えはしないというものであった。
実際に彼の葬式も、追悼集会もなかった。
私は個人的には奥様にともらいの電話をした。
葬式というものの意味が、かつての様には明確には、
分からなくなってきている。
高松次郎氏は、私の恩師で、葬式はもちろん、
火葬場まで行って、お骨を拾うところまでしているが、
そういう律儀さの意味が分からなくなっているようだ。
この時も、某ギャラリーが、
宅急便で送ってきたと言う噂が立っていたが、
葬式という物自体が、意味を欠き始めている。
昨日、清水誠一氏から葬式の話を電話で聞いた。
前から葬式の話を何度も電話で聞いているのだが、
彼の所は土葬地帯で、しかも神道の地域であった。
葬式は家でやって、みんな集まり炊き出しからはじまって、
古典的な古いしきたりの葬式がついこの間までやられていた。
ところが家が次第に新しいスタイルになると、
昔のように葬式の時に、襖や障子を取っ払うと、大広間になるような
家ではなくなって、
自宅で葬式のできない家が増えていった。
そうすると公民館ができて、そこで葬式をするようになった。
ところが最近は葬式の業者が入って、
葬儀場で葬式をやるようになり、
費用も３００万円といったものになってくる。
昨日も香典は120万くらいしか集まらなかったので、
赤字だという。
葬儀屋がすべてをやるので、
参加した女手も、かつてのように料理をつくったり、
いろいろの仕事を手分けしてすることもなくて、
ただ座っていて、かえって疲れると、彼の奥さんは言っていたという。
葬式という、かつては共同体が取り仕切る重要なセレモニーも、
今日では急速に金銭がからむ商売にされて、
高度資本主義のシステムに組み込まれていく。
葬式は高いから、
必然的に下流の人々の中には、
葬式をしない人たちが出てくる。
清水が言うには12人に１人は、葬式をしなくなっているという。
さらに密葬という形で小さくやる場合にも、
坊主も呼ばない例も増えているという。
しかしもちろん、大会社や、大学関係では、
盛大に葬式が開催される。
つまり上流社会の人は盛大に葬式を催し、
そして貧乏人は、葬式もせず、ひっそりと退場していく。
人の死ぬことの意味が分からなくなってきている。
それは同時に日本社会の意味の喪失であるように感じる。
人の死が、単なる処理になっていく。
もっとも自分の死については、
どうでも良いと思っている。
興味はない。
互助会に入って、
支払いは済んでいるので、
密葬程度は地味にできる手はずである。
後は死を待つだけである。
死ねば楽になれる。
今までに４回死に損なっている。
だから私はこんなに長く生きられるとは思っていなかった。
だから私よりも早くに死んでいった友人達に対して、
何とも申し訳ないというか、不思議な気がしている。
昨年は古い友人の映画監督・渡辺哲也氏が亡くなった。
この人は197１年に私が、
自宅でのフロア・イヴェントに来た２８人の観客の一人であった。
それ以来の友人で、かれと映画監督の松本俊夫氏の事務所で、
なんの勉強会か忘れたが、集まりをもっていた記憶がある。
一番最初に死んだのは写真家の山中信夫で、
彼はニューヨクで死んで、私が葬式から火葬までした。
それから暗宙忌という７回のともらいのコンセプトをつくった。
もっともこれは堀浩哉が横取りして、彼だけの手柄になっている。
まあ、それもよいけれども。
東野芳明氏は、私の恩師で、
彼の葬式には行った。
これには堀が来ないのは、驚いた。
多摩美葬だったから、まあ、良いのかもしれないが。
美術評論家の中村啓治氏には、
生前に葬式をどうするのか、聞いた。
彼の答えはしないというものであった。
実際に彼の葬式も、追悼集会もなかった。
私は個人的には奥様にともらいの電話をした。
葬式というものの意味が、かつての様には明確には、
分からなくなってきている。
高松次郎氏は、私の恩師で、葬式はもちろん、
火葬場まで行って、お骨を拾うところまでしているが、
そういう律儀さの意味が分からなくなっているようだ。
この時も、某ギャラリーが、
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葬式という物自体が、意味を欠き始めている。
昨日、清水誠一氏から葬式の話を電話で聞いた。
前から葬式の話を何度も電話で聞いているのだが、
彼の所は土葬地帯で、しかも神道の地域であった。
葬式は家でやって、みんな集まり炊き出しからはじまって、
古典的な古いしきたりの葬式がついこの間までやられていた。
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昔のように葬式の時に、襖や障子を取っ払うと、大広間になるような
家ではなくなって、
自宅で葬式のできない家が増えていった。
そうすると公民館ができて、そこで葬式をするようになった。
ところが最近は葬式の業者が入って、
葬儀場で葬式をやるようになり、
費用も３００万円といったものになってくる。
昨日も香典は120万くらいしか集まらなかったので、
赤字だという。
葬儀屋がすべてをやるので、
参加した女手も、かつてのように料理をつくったり、
いろいろの仕事を手分けしてすることもなくて、
ただ座っていて、かえって疲れると、彼の奥さんは言っていたという。
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必然的に下流の人々の中には、
葬式をしない人たちが出てくる。
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