牧井優展 [アート論]
マキイマサル・ファインアーツで開催されていた牧井優展に、
最終日に駆け込んで見た。
横浜から京急で1本なのだが、浅草橋は、思ったよりも遠くて、
片付けが始まっていて、全部は見られなかったが、
主要作品は、見られた。
何しろマキイマサル・ファインアーツのオーナーが、
牧井優氏であって、
しかも牧井ステンレス株式会社の社長であって、
その人の作品なので、
見る方には偏見がどこかにあって行ったのだが、
作品そのものは〈1流〉作品で、なかなか良いものであった。
正確には、〈1流〉〈1流〉《8流》
《8流》というのは信仰領域だから、
最後の〈現実界〉に《8流》が出てくるところに、
社長業を本業としながらも作品を作り続けようとする資質が表れている。
具体の吉原治良も吉原製油の社長であったから、
前例はあるのである。
牧井優氏は、1947年金沢生まれ、
1965年日本大学芸術学部美術学科入学
1969年同大学中退
という学歴の人だから、
作家活動をし、そして画廊経営も続けているのも、
一貫性はあるのである。
作品は、ニューウエイブ風の具象絵画あり、
バーコード風のストライプの絵画あり、
そしてコラージュ絵画あり、等々様々なもので、
その多様性も驚くが、すべてが〈1流〉〈1流〉《8流》で制作されているのも、
驚く。
少なくとも、今日の日本では〈1流〉作品を、
作れるということ自体が凄いことであって、
牧井優氏の精神のありようというか、意識の水準の高さ故であると言える。
とは言っても、作品はハイアートではない。
ローアートなのである。
ローアートゆえの良さとも言えるし、
ローアートだからこそ、多様な作品が作れるとも言える。
つまりバーコード風のストライプの絵画にしても、
ストライプの絵画が成立するという過去のモダニズムアートの歴史的な事実に乗っかって、
それを自明にして描かれているのである。
そこには牧井優氏らしさはあるにしても、決定的なオリジナリティは無い。
しかしすでにこのブログでも書いているように、
1975年以降になると、圧倒的にローアートの時代になるのである。
そして今日では、モダニズムの歴史的事実を自明にして、
こうした作品が、ローアート特有に強さで作られてくる。
牧井氏の制作は、こうしたローアート領域の自由度を
最大限にプラスに転化した作品と言える。
2008-03-14 08:40
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