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写真家・笹岡啓子の個展(タマダプロジェクト) [アート論]


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2008年のVOCA奨励賞を受賞した笹岡啓子さんの個展が、
タマダプロジェクトで開催され、昨晩そのオープニングに参加してきました。

凄い良い写真で、
久しぶりに興奮して、
結局飲み続けて、タマダプロジェクトの床にごろ寝で、
朝、帰ってきました。

この作品を選んで、企画を立てた長嶺一徹さんの眼の良さも、
私にはうれしかったのです。

玉田俊雄が頑張って作って、維持して来た、
このタマダプロジェクトの空間が、
良い作品が展示されて、
生き生きと輝いていました。

良い空間には、良い作品が似合います。

この彼女の作品をVOCAに推薦したのが、
世田谷美術館の学芸員の杉山悦子さんで、
彼女とも長いおつきあいですが、
杉山悦子氏の眼の良さに改めて敬服しました。

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杉山悦子氏は、2005年に、
瀧口修造―夢の漂流物」展の企画及びカタログ中の論文で、
公益信託倫雅美術奨励基金の17回目倫雅美術奨励賞を、
美術評論部門で、受賞されています。
真面目で、優秀な方です。
その杉山悦子氏が、笹岡啓子さんをVOCAに推薦したのです。

なぜ、笹岡啓子さんの写真が傑出して良いか?

写真の善し悪しの眼を作る為には、
評価の高い古典的な写真家の写真集を見て行く事から
始めなければなりません。

石内都氏は、写真には歴史が無いと言いますが、
それは彼女に教養が無くて、
写真史を勉強していない事からの発言であって、
それは写真史教育を受けていない
多摩美の織物科出身者の発言に過ぎません。

写真の歴史は、優れた作品を数多く残して来ているのです。
こうしたものの鑑賞を通して、
養った眼で、今の若い作家のものを見て行かなければならないと、
私なんかは、考えます。

笹岡啓子さんは
1978年 広島県生まれ
2002年 東京造形大学卒業
 
最初の発表は2001年ですから、
このブログでも取り上げた鈴木奈緒さんのガーリーフォト世代の、後の、
若い写真家です。

しかしその作品は、極めて優れていて、
日本写真のダサさを脱して、硬質で、高度の真性の芸術になっています。

しかし、何故にすぐれているのか?
その一つの答えは、広島出身という事があります。
その写真には、広島を見つめて来た眼が、
そのまま広島の外の世界を見ているという、
特権的な眼差しがあります。

しかもその広島の眼は、
若い世代に移ることによって、
被害者意識の自己憐憫性を脱しているのです。
ここに身体化され、方法化された《新しい広島の眼》があります。
眼が、代を重ねることによって、《超1流》へと成長して来たのです。

その広島の惨劇への冷徹なまでの垂直な《退化》性、《非合法》性、
そして人間の空虚を見つめる《非実体》性は、
写真思想として方法化されていて、なんとも美しい写真です。

《イメージ判定法》で、《1流》の写真。
《現実判定法》で、《超1流》から《41流》までの多層的重層的作品。
《現実判定法》で、《1流》。

《想像界》《象徴界》《現実界》の3界同時表示。
固体/液体/気体の3様態同時表示。

パーフェクトな、芸術写真と言えます。

日本の写真が、
《新しい広島の眼》を介することによって、
アメリカ写真並みの硬質性を獲得したことに、
驚きがあります。
新しい時代始まるのかもしれません。





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