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8600年前の世界最古の火葬場 [歴史/状況論]

8600年前の世界最古の火葬場の発見に、私が興味があるのは、
人間が、自然である《6流》の領域から、
文明の領域である《1流》にジャンプするところに、興味があるからです。

自然が、人間関係を意識的に構築する配慮=《象徴界》の発生で、
圧力を受けて、《6流》から《1流》に変貌するのです。

この世界最古の火葬場というのは、
その意識のジャンプの証拠の一つと言えます。

その前に、
 テル・エル・ケルク遺跡から出土した
封泥と石製印章が見つかっています。
ここには、
彦坂尚嘉の《言語判定法》を使うと、
《象徴界》の美術の誕生が読み取れます。

しかも《シリアス・アート》であり、
《ハイアート》なのです。
つまりここに、人類最古の《ハイアート》と、
《シリアス・アート》の存在が確認できるのです。
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この発掘をした常木晃氏は、次のように書いています。

農耕の始まりから都市の形成へと続く転換を世界でもっとも早く経験した地で、この人類史のターニングポイントとなった歴史の実体を遺跡調査を通じて追究することにある。特に1990年からは、シリア北西の石灰岩山地に囲まれたエル・ルージュと呼ばれる盆地に焦点を絞り、詳細な遺跡分布調査と、地質や植生などの環境科学的調査を展開してきた。昨年から始めた同盆地内にあるテル・エル・ケルク遺跡の発掘調査も、この研究の一貫として計画された。

なお、下記サイトから、次の4枚の画像を借用しています。
http://images.google.com/imgres?imgurl=http://antiquity.ac.uk/Projgall/Hudson/Images/fig2text.jpg&imgrefurl=http://antiquity.ac.uk/Projgall/Hudson/Hudson.html&h=314&w=450&sz=53&hl=en&start=3&usg=__9CulAvCuO3gKlPV7we2GI6HHbqI=&tbnid=Zo5Ix1aizQq04M:&tbnh=89&tbnw=127&prev=/images%3Fq%3DAkira%2BTsuneki%26gbv%3D2%26hl%3Den%26sa%3DG
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《想像界》の眼で《1流》
《象徴界》の眼で《1流》〜《7流》の重層表現
《現実界》の眼で《1流》

固体美術、《現実界》の美術。
《気晴らしアート》《ローアート》
《自己愛》性人格障害者ではない。


火葬場跡 8600年前の世界最古、シリアで発見…筑波大

10月18日15時1分配信 毎日新聞


火葬場跡 8600年前の世界最古、シリアで発見…筑波大

火葬場に使われた土坑と埋葬された人骨=シリアのテル・エル・ケルク遺跡=常木教授提供

 シリア北西部にある新石器時代の集落遺跡「テル・エル・ケルク遺跡」の発掘調査をしている筑波大調査団(団長・常木晃筑波大大学院教授)が、約8600年前の火葬場跡を発見した。2万年以上前の火葬された人骨は発見されているが、火葬に使った土坑や焼けた人骨が同時に発見された明らかな火葬場としては世界最古とみられ、来年3月の西アジア考古学会で発表する予定だ。

 常木教授によると、今年8月、昨年発掘した世界最古級の約8500年前の墓地をさらに掘ったところ、南北10メートル、東西6メートルの敷地に直径約1メートル、深さ50〜80センチの四つの土坑と47体の人骨が見つかり、そのうち20体程度が火葬されていた。

 発掘が済んだ三つのうち二つは5体程度の人骨が火葬され埋葬されていた。残り一つの土坑に人骨はなかったが、土の壁が焼けて硬くなり、近くに火葬された人骨があった。放射性炭素による年代測定で火葬場跡を含む地層は約8600年前と分かった。

 これまで、オーストラリアのウィランドラ湖水地方で約2万6000年前の焼けた女性の人骨が見つかるなど焼けた人骨だけが見つかったケースはあるが、明らかな火葬場としてはイラク北部などの約7000年前が最古で、それより1600年程度古い。

 常木教授は「火葬には約1トンの木材が必要で、火葬した人と、していない人がいるのは、何らかのステータスがある人を火葬にしたのではないか」と推測する。東京大学考古学研究室の佐藤宏之教授(先史考古学)は「新石器時代初期は階層が生まれ始め、エリートが出てきたころ。これだけ古い時代の火葬場跡は知らず、非常に重要な遺跡だ」と話した。【石塚孝志】
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最初に引用した常木 晃氏は、次の様に書いています。

テル・エル・ケルクは、南北約1km、東西約400m、高さは最大で30m以上になる西アジアでも有数の規模を持つテル(人工の丘)である(写真1)。1992年の踏査と試掘で、約8000年前の新石器時代にテルが最大規模となり、その時代に20万m2を優に越える極めて大規模な集落が営まれていた可能性が強く示唆された。発掘調査ではこのような大規模集落がどのような社会構造を持っていたのかを解明し、そのような古い時代に何故に巨大集落が形成されたのかを探ろうとするものである。

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テル・エル・ケルク遺跡出土封泥(左)と石製印章(右)
《想像界》の眼で《1流》のデザイン的エンターテイメント。
《象徴界》の眼で《1流》〜《7流》の重層的な《真性の芸術》。
《現実界》の眼で《1流》のデザイン的エンターテイメント。

固体美術。《象徴界》の美術。
《シリアス・アート》
《ハイアート》

はじめは小さな泥の塊にしか見えなかったが、遺物洗いに雇っていた近くの村のおばあさんの手から洗い終わった遺物を受け取ったとき、思わずあっと叫んでしまった。泥の塊の表には印章を捺した痕(印影)が、そして裏には縄と紐の痕がはっきりと認められたからである(写真2)。この遺物は、考古学の用語で封泥 sealingsと呼ばれているもので、品物を容器に入れて紐などで縛り泥を貼り付けた上に印章を捺したものである。裏面の縄と紐の形状から見ると、縄を編んだ容器に紐を掛けた上にこの封泥を施したものであることは間違いない(図)。表面の印影からは、印章は斜格子が刻まれた方形の印面を持っていたことがわかる。テル・エル・ケルクからも多様な石材の印章が出土しており(写真3)、こうした石製の印章によって印影が捺されたわけである。封泥や印章は、土器などの伴出遺物から見て、今から約7300年前の新石器時代の層からの出土であることは間違いなかった。

封泥の出土は、私たちに一つの確かなことを語りかけてくれる。誰かが、これは自分のものであり、他者が開けてはならないという意志表示をしている。しかし封泥は鍵ではなく、誰でも容易にそれを壊して中のものを取り出せる。つまり開けてはいけないものだという意識がその社会の成員の中に貫徹していなければならない。所有者の意志に反して開いた場合は罰せられることで成り立っている遺物であり、それを保障している権力が存在しているわけである。機能的にも保障システムという点でも、それは現代日本の現金書留の封緘とほぼ同じであるといえよう。

西アジアの考古学で封泥が注目されだしたのはここ15年ほどのことに過ぎない。玉随や瑪瑙、蛇紋岩などの美しい石材でつくられた印章は古くから多くの人々の注目を引いたが、地味な粘土の塊である封泥は不当に冷遇されてきた。もっとも封泥自体もろく壊れやすく、必ず壊されるもの(そうしないと中身が取り出せない)であることもあり、よほど注意深い発掘調査でないと検出できない遺物でもあった。幸いにもテル・エル・ケルクの封泥は、壊された後に何らかの理由で焼成を受けたためよく保存されていたのである。

テル・エル・ケルクで出土したちっぽけな泥の塊は、新石器時代の印章と呼ばれている遺物が実際に印章として使用されたことにもやは疑いの余地がないことを示し(かつては新石器時代に印章があるはずがないという思いこみから、装身具や護符であると考えられていた)、また、印章を用いた物資の保障システムが7300年前までもさかのぼることを雄弁に物語っている。この封泥は、同じシリアのバリフ川流域テル・サビ・アビヤド遺跡で出土している封泥と並んで、現在のところ印章の使用を確実に示す世界最古の資料である。






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コメント 2

丈

東アジアの「封泥」は鴬谷の書道博物館で、古代中国の物が多数展示されています。古代の官僚制度の証拠ですね。その年代を正確に知る事は興味深い事で、多くの人に驚きをもたらすでしょう。
by (2008-10-20 05:41) 

ヒコ

ありがとうございます。
しかし「封泥」を、古代の官僚制度の証拠として、見る見方は、少し違います。別の言い方をすれば、《象徴界》の成立を、今日の言葉としての官僚制度と理解するのは間違いです。
説明は難しいですが、たとえば文人画家というのは、文武両官の士大夫です。つまり文人画家というのは、高級官僚なのですが、しかし今日の日本の官僚からは、優れた画家は出て来ません。
《象徴界》の成立ということは、旧約聖書での有名人ではモーゼですが、彼の十戒という禁止と、泥封とは、密接に関連しています。こういう禁止の問題が、《象徴界》の発生なのですが、これを今日の官僚制度という用語で指し示す事は出来ません。


by ヒコ (2008-10-20 19:36) 

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