大琳派展/尾形光琳 [アート論]
江戸時代初期、17世紀前半の作です。
国宝となっています。2曲1双・紙本金地着色、サイズは各157.0×173.0cm、キャンバスで言うと500号よりも大きいものです。
京都の四条のある建仁寺蔵の所蔵です。臨済宗です。
風神雷神図は、現在は京都国立博物館に寄託されています。
私はこの京都国立博物館で何回か見ています。清水誠一さんは実物を見ていない可能性があるのですが、それは京都国立博物館にあるというせいがあります。京都奈良に何回かでも通っていれば見るのですが、それをしていないのです。
落款、印章はありませんが、宗達の真筆であることは疑われていないのです。
圧倒的にすぐれていて、疑いようがないのです。
制作の経緯はよくわかっていないようですが、京都の豪商で歌人であった打它公軌(うつだ きんのり)が京都妙光寺再興の際に製作を依頼し、その後建仁寺に渡ったと言われています。
この画は構図が見事です。画面のフォルムが厳密の構成されていて呼応しているのです。
この呼応関係は、この絵を模写した光琳には無い物です。
画面の両端ギリギリに配された風神・雷神が画面全体の緊張感をもたらし、真ん中の空いている金地に深い空間を生み出しているのです。三島由紀夫はこれを評して「奇抜な構図」と呼んでいますが、過去にはこうした画像はなくて、宗達の独創性なのです。風袋を両手にもつ風神、天鼓をめぐらした雷神の姿も、極めて独創的であって、金箔、銀泥と墨、顔料の質感が生かされ、宗達の傑出した色彩感覚を誇示しています。そうした独創性の絵画が、しかし日本の現代美術の作家の中では評価されていません。先ほどの清水誠一さんもそのひとりです。たぶん、絵柄から、《気晴らしアート》であると錯誤しているのです。それと清水さんは絵画というものを《深いイリュージョンの絵画》だけで考えていて、グリンバーグの言う《オプティカルイリュージョンの絵画》というものを理解していないのです。
いわゆる平面的な浅い空間の絵画には、2種類があります。一つが《オプティカルイリュージョンの絵画》で、もう一つが《原始平面》の絵画です。この見分けが、清水誠一さんは出来ないのです。
彼の好きなフェルメールの絵画というのも、実は偽物の《深いイリュージョンの絵画》であって、現実は《原始平面》の絵画なのです。この見分けが、出来ていないから、フェルメールの絵画がインチキでることが見えないのです。
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現在では極めて有名な絵であったのですが、江戸時代にはあまり知られておらず、作品についての記録や、言及した文献は残されていないそうです。
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