SSブログ

失業者の増加とアート構造(校正1) [歴史/状況論]

失業者が増加を始めました。

不景気は本格化の様相です。

昨日見た横浜アート&ホームコレクション展での作品価格も、

私の感覚では、かなり高くて、

昔のバブルの余韻が強ように思いました。


日本の近代史では大正アヴァンギャルドが、

金融恐慌、さらには関東大震災恐慌で吹き飛んで、

大量の失業者が出る中で、

美術は変わって行きます。

単純化して2つだけ上げれば、

一つはこの失業者の群れの中から日本の洋画商が生まれて来ます。

詳しくは拙著『彦坂尚嘉のエクリチュル』に

収録されている画商論を読んで下さい。

今、私は、正確には作品としてですが、気体分子ギャラリーというのを、

スタートさせる準備をしていますが、

これは実は、拙著に収録されている論文の続きを、実際にやろうとする、

コンセプチュアルな作品なのです。

時期的にも、1929年以来の世界大恐慌と重なって、

歴史的な符合性を持って来ています。

もう一つ美術作品も変貌していって、

乱暴に言えば『新人画会』に結実して行くと思います。

今、板橋区立美術館で展覧会が開催されています。

http://local.yahoo.co.jp/detail/event/i57130/

気体分子ギャラリーを拠点にして展開する美術もまた、

こうした地味で堅実な芸術の展開が目指されます。


私自身としては、

近代の構造であった画商と批評という第3勢力の問題を、

否定してみたいのです。

つまり美術の生産者と消費者の間に入って、

分離するという構造が、画商と批評という第3勢力の構造だったのです。

そのものの否定を、

実験的にですが、やってみたいと思っています。

つまり作家と批評と画商を重ねて1人でやるという

試みです。

繰り返しますが、これは作品行為であって、

それ以上のものではありません。


さて、そういう美術構造を作品化する試みも、

実は、下記に掲載している失業状況と密接に結びついていると、

考えています。



内定取り消し331人 「非正規」失職3万人超 厚労省調査

11月29日8時1分配信 産経新聞


 米国発の金融危機に端を発した景気低迷によって、来春の新卒予定者の内定取り消しが大学生と高校生で331人に上ることが厚生労働省の調査で28日、明らかになった。また、10月から来年3月末までの期間で契約満了にともなう「雇い止め」や、契約の中途解除によって仕事を失う非正規労働者数が3万人を超えることも分かった。景気悪化にともなう雇用調整は、新卒予定者や非正規労働者だけでなく、大手企業の正社員にもおよびつつある。

 厚労省は同日付で緊急雇用対策本部を設置し、都道府県労働局に新卒の内定取り消しや、非正規労働者の雇い止めの状況を把握するよう指示した。内定を取り消された学生や、離職を余儀なくされる非正規労働者に対する再就職支援の強化が目的。各都道府県労働局にも緊急雇用対策本部を置き、情報収集や企業への指導を徹底する。

 内定取り消しの内訳は大学生が302人で高校生が29人。取り消しの理由は倒産など経営破綻(はたん)によるものが116人、経営悪化・事業縮小が212人だった。厚労省は年度末までにかけて内定取り消しがまだ増えるとみており、「このままでは北海道拓殖銀行や山一証券が破綻した平成9年度末の922人を超える可能性もある」と警戒感を強めている。

 舛添要一厚労相は閣議後の記者会見で、「これは違法ということを企業、社会、大学に対して周知徹底して、学生諸君には、きちんと対応するので泣き寝入りするなといいたい。日本経団連に対しても、きちっと言う」と述べた。

 一方、「雇い止め」などで仕事を失う非正規労働者数は3万67人に上る。雇用形態別では、派遣社員が1万9775人と65・8%を占め、期間工など契約社員が5787人で19・2%。産業別では、自動車や電機メーカーなどの製造業が全体の約94%を占めた。

 都道府県別では愛知県の4104人が最も多く、次いで岐阜県の1986人、栃木県の1680人だった。

 こうした企業の人員削減は正社員にも及んでいる。日本IBMが約1000人の早期退職を募るほか、大手アパレルのレナウンも300人の希望退職を募っている。

 金融危機の拡大から今後、企業業績が一段と悪化するとみられており、雇用を取り巻く環境はさらに厳しくなりそうだ。

最終更新:11月29日8時1分

産経新聞

nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 1

コメント 1

名無し

アメリカの政治家はルーズベルト時代の「The Defining Moment」が、また経済界でも「The Great Crash 1929」という大恐慌後の回顧的な本が読まれています。 ヒコさんが昭和の金融恐慌後の美術界をリファーしようとするのはもっともですが歴史というのはある時代からのみの編集であることに十分に注意を払い、どう編纂されたか気をつけなければなりませんよね。過去の研究にとどまることなく今後の美術のありかたを占う考えなり作品なりを発表していただきたい。

「作家と批評と画商を重ねて1人でやる」という箇所を読み思い浮かんだのは村上隆さんです。いえ、これは皮肉でもなんでもなく彼こそは時代の子であるといえるのではないでしょうか。私個人は彼の作品内容には興味ありませんが彼という作家のありようには惹かれます。ヒコさんは世代も違いますからまた違ったアプローチを試してください。

世の中はますます悪くなります。美術はどのように振る舞えばよいのか。横浜アート&ホームコレクションなど見るにたえません。なんとこのアートフェアの音頭をとった事務局長が美術館人であることにひどく落胆してしまいました。
by 名無し (2008-11-30 02:28) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。