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ビックスリー/ドバイと現代アート(加筆3改題) [歴史/状況論]

こんぴらアートボケで、
良く分かっていないのですが、
世界経済恐慌は、さらにひどくなって来ていますね。

昨日は、久しぶりのニューズウイークを買って、
読みましたが、暗い話をあおっているので、
ちょっと、困りました。

cover081224.jpg

世界経済危機の余波が未曾有のレベルにふくらみつつあるなか、
アメリカの自動車業界救済法は廃案に。
世界はどこへ向かうのか

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
たとえば、大きな船があって、
これは普通は、小さな部屋に仕切ってあるのです。
それは船の底に穴があいた場合、
小さな部屋がいくつもあれば、部屋を閉めてしまえば、
穴から入る水は塞き止められて、
船は沈まないからです。

近代における国民国家の存在は、
世界という大きな船を、いくつもの部屋に仕切っていた様なものでした。

しかしグローバリゼーションで、世界は一つの部屋の様になったために、
今回の様に、穴が開くと、
水を止めるためのドアが無いために、
船は、全体が沈むことになるのです。

その意味で、グローバリゼーションは、
問題があるのです。

老子の主張に、小国寡民というのがあります。

第八十章 (小國寡民)

 

小國寡民。

使有什伯之器而不用、

使民重死而不遠徙。

雖有舟輿、無所乘之、

雖有甲兵、無所陳之。

使人復結繩而用之、

甘其食、美其服、

安其居、樂其俗。

鄰國相望、鷄犬之聲相聞、

民至老死、不相往來。


理想の国とは、小国で人口が少ない国である。

文明の利器があっても、使わせないようにし、

人民にいのちを大事にさせ、

しかも遠くに移動しないようにさせる。

そうすれば、船や車があっても、それに乗る機会が無く、

鎧や武器があっても、見せびらかす機会がない。

昔のように、人々は縄を結んで文字の代わりとし、

質素な食事をうまいと食うようになり、

質素な服をりっぱだと思うようになり、

質素な住居に落ち着くようになり、

質素な習慣を楽しむようになる。

隣国は互いに見え、鶏や犬の鳴声が

聞こえるほどの近さにあっても、

人民は、老いて死ぬまで行き来することはなくなる。


人間の生活世界の幸せと言うのは、

この老子の主張が正しいのです。

しかし、それは村を単位とするような、

原始共同体の世界です。


しかし人間は、定着して農業をする文明化を開始すると、

逆の方に向かって、

暴走して来ているのです。


常に、原始共同体への回帰の動きはあるにしろ、

しかし宇宙が膨張し続ける様に、

人間の文明は、膨張し続けて来ています。


この膨張が暴走し過ぎたのが、

今回の世界大恐慌を生んだ様に見えますが、

複雑系の歴史観を吸収している私の私観では、

大地震が起きる様に、

大恐慌は、不定期に起きるものなのです。


ニューズウイークは、

世界経済の崩壊を、大金4兆ドルを費やして、

防げと主張していますが、

私は、賛成ではありません。

沈み始めたタイタニック号を、途中で助ける方法はありません。


私の見通しは、前にも書いた様に、

1月にオバマが就任して、しばらく立てば、

少なくとも底を打つと言うものです。

しかしあらゆる予想は外れるものです。

ましてや、私の予想はあくまでの経済の素人でしかありません。

3月になってもまだ、底入れをしないようであれば、

確かに大変でしょうね。


ニューズウイークは中国の経済破綻の予想も書いてますが、

破綻すれば、内乱が起きるでしょうね。

内乱だけではすまないでしょうね。

中国共産党政権の崩壊は、予想できます。


1929年の世界大恐慌が第2次世界大戦を生んだ事からすれば、

再度、大きな戦争が起きる可能性は否定できません。

それがアジアであると言うのも、

予想されている事です。


アメリカの上院が、

アメリカ自動車産業の救済案を否決したことは、

私には賢明に見えます。

しかしそれは私自身にも跳ね返ってくる問題であって、

これからの時代の再編の厳しさを、

象徴する決断であります。


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 井上清仁さんが、

次の様な、ドバイの画像を送ってくれました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

こんぴらアートお疲れ様でした。

ブログの更新も少なくちょっとさびしかったです。

 

昨日のTV朝日報道ステーションで放映されたドバイ特集が

早くも今日youtubeにアップロードされています。

 

 

冷え冷え都市 ドバイ party is over 

http://jp.youtube.com/watch?v=oS7jxDsWVfU

冷え冷え都市 ドバイ party is over 

http://jp.youtube.com/watch?v=T-00s1Dy3cM

 

                    井上清仁

 

 

 

先ほどのメールでお知らせした特集の

正式な表題は以下のようです

 

「未来都市」の挫折

〜“マネー”で急成長のツケ〜

 

http://jp.youtube.com/watch?v=oS7jxDsWVfU#t=1m08s

 

urlの後ろに#t=○m○sと打ち込むことで  

指摘した場面に飛びます。(この場合表題の見える部分)

 

                        井上

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ドバイの凋落は、

やっぱり、という感じではありますが、

他人事ではありません。


現代アートのバブルもまた、

同様であるからです。

とくにアジアの美術の活況は、

実はバブルであった面が強くあります。

その代表は中国現代絵画であって、

《21流》のデザインワークに過ぎないものが、

あたかも、大芸術であるかのように高騰していったツケは、

回ってくるのです。

 

特にこの2年間のバブルは激しかっただけに、

ここでの響宴の終焉は、

美術や芸術そのものの反省には、

なって行きます。


下記のようなシンポジウムが開かれます。

私は予定が入っていますので、

行けませんが、現地の声を聞きたいとは思います。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【出典;メーリングリストaw】

「日本美術の北京進出と日中文化交流」


アート・インタラクティヴ東京(AIT)の、樋田豊郎といいます。

 AITが開催してきました4回シリーズの連続レクチャー「日本美術のアジア輸出」も、いよいよ12月23日に最後の会を迎えることとなりました。今回は東京画廊の田畑幸人さんと、ミヅマアートギャラリーの三潴末雄さんを講師にお招きし、森美術館の片岡真実( シニア・キュレイター)さんにお話を引き出してもらいます。
 田畑さん、三潴さん、そして、片岡さんは、皆さん現代の北京の現代美術界に詳しい方々です。ついこの間までの、アジアにおけるアート・バブルとはなんだったのか。どうしてこんなに急激に状況が変わってしまったのか。そして、アート・バブルは現代日本の美術になにを残したのか、あるいは、残す可能性があったのか。こうしたことについてお話ししていただきます。
 プログラムの詳細は以下をご覧ください。

4回 「日本美術の北京進出と日中文化交流」
開催:12月23日(火/祝)14:00ー16:00 東京文化会館大会議室
講師:田畑幸人(東京画廊+BTAPディレクター)
講師:三潴末雄(ミヅマアートギャラリー代表)
司会:片岡真実(森美術館 シニア・キュレイター)

            
お問い合わせ:NPO法人アート・インタラクティヴ東京 事務局
E-mail : info@artinteractivetokyo.com
Fax / Tel : 042-471-4720
〒105-0003東京都港区西新橋1-4-12長尾ビル7F
http://www.artinteractivetokyo.com


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しかし、それでも世界という船は沈まないで、

歴史は更新され続けて行きます。


そして美術史は、ゼロにはならないのです。

村上隆も奈良美智も、完全なゼロにはならないのです。

中国現代絵画もゼロにはなりません。

美術史は、これらを飲み込んで、

さらに更新されて行きます。


歴史の連続性と言うのは、

強いものなのです。

独りの人間が、この更新に際限なく付き合えるものではなくて、
時代に取り残され、歴史から退場するしかないことも、
避け得ない必然ではあります。

私にとっても、
時代の敷居は大きく立ちふさがっていると言えます。
しかし何よりも、この世界大恐慌を見る事ができたことは、
大きな喜びです。
面白い!

しかし、実際の私の生活の中では、
この世界大恐慌は脅威であります。
日本の美術界は変貌して行きます。
オークションやアートフェの中止の噂が聞こえて来ます。

自身の足下の再編を迫られる事態であります。

そこでも、また問われるのは、
芸術とは何であったのか?
という問いなのです。
アートは変貌し続けるのです。



タグ:ドバイ
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symplexus

日本の経済評論の中には今回の不況は
1929年の世界大恐慌のようにはならないという主張も有ります.
 世界中の協調的金融介入が危機の進行を食止め得るというのです.
しかし,金融危機の本家であるアメリカの現状は
そういった楽観を許すほど軽いものではないようです.
 
 以下は吉田繁治の分析ですが,
読んでいて目がくらようなアメリカ財政の破綻に怖くなりました.
新ドル発行による強権的決着の可能性を詳細に検討している点が
今後の動向の参考になります.

http://archive.mag2.com/0000048497/20081130194558000.html
by symplexus (2008-12-19 11:03) 

縷衣香

 山岸信郎さんの帰天の報告からブログを読まさせていただいてます。
彦坂さまのお名前は聞いたことがあります。
今回の12月23日の「日本美術の北京進出と日中文化交流」の講演会の情報ありがとうございます。早速、連絡させていただきました。

 私も細々とアートで生きているものです。
村上隆さんや奈良美智さんのちょうど出てくる最初の時期にはアメリカにおりました。SMFAで授業で村上さんのフィギアがスライドで登場し、アメリカ人の教師から「オタクって何だ?」と問われ日本人代表としてお答えしたのを覚えてます。ニューヨークの駅内の展示やチェルシーの個展、ボストン美術館での個展で村上氏の作品は本物を沢山見てます。最初に授業で見たフィギアにはなんとも理屈でないオーラがありましたね。

 彦坂さまとはほぼ同年代ですので、いろいろな作品の批評を楽しんでます。本をサイン入りでいつか購入させてください。

 中国は北京ではなく西安で個展ができるのですが、オリンピック以来の国のあり方に返事を1年保留中です。そろそろ、返事をする時期になりました。参考にさせて頂きます。

 私は現代美術作家であるかどうかわかりません。
 故山岸氏は真木画廊で私が「易カルタ」を出版することが決まった時に、
オカルトとカルタを合わせて「オカルタ」と名づけてくれました、懐かしいです。葬儀には間に合えば行きたかったです。
 フランスで個展をしたことがあります。どういうわけか百人一首を作ったんですが、美術館が買い上げてくれ永久展示をしてくれてます。
私はイコン画もエッグ・テンペラで描くのですが「コンテンポラリー・アイコン」ってアメリカでは言うのですよね。
 とにかく感謝してます。いつも。
by 縷衣香 (2008-12-19 11:39) 

ヒコ

symplexus様
吉田繁治の分析読みました。すぐれた分析とは思いますが、しかし専門家特有の盲目性を感じます。

縷衣香様
コメントありがとうございます。「オカルタ」というネーミングは良いですね。「コンテンポラリー・アイコン」という言い方も良いものですね。
by ヒコ (2008-12-20 22:42) 

symplexus

盲目性のご指摘はそのとうりだと思います.
 論理的な帰結と保留をつけているにしても
常にとりこぼした現実が有るという視点が消えてしまいますから.
新ドル発行などもはや経済の問題を遥かに越えるでしょう.
 そのような社会状況に対しては別の目が必要となる.

 ただ,何とか米国経済の現状を把握しようとする努力,
そこを恐れないで突き進むことから出る現実の断片から
 ただならない時代を僕など不勉強なので学ばせてもらいました.


by symplexus (2008-12-21 08:18) 

ヒコ

symplexus 様
経済専門家として、吉田繁治氏は、すぐれていると思いますが、しかし今回の金融危機を、地震のような天然災害ではないという正しい指摘をなさっています。この部分は、その正しさの分だけ、間違いているのです。
人間というもの自体が、最終的には自然性に立っていて、多くの迷妄の中を動く、コントロールの出来ない代物なのです。
私見では、今回の金融危機の根底にあるのは、天然の地震現象です。それは人間にはコントロールできないものなのです。
by ヒコ (2008-12-22 14:06) 

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