700万人失業の衝撃(週刊朝日) [歴史/状況論]
トヨタ、営業赤字転落の危機
昭和57年以来初
トヨタ自動車の平成21年3月期単体決算の営業損益が
赤字に転落する公算が大きいことが19日、分かった。
新車販売不振に加えて、為替差損が予想以上に拡大するため。
営業赤字となれば、
旧トヨタ自動車工業と旧トヨタ自動車販売が合併した
昭和57年以来初めてとなる。
米国発の金融危機に端を発する世界同時不況は、
日本を代表するグローバル企業の経営基盤をも揺るがした形だ。
【出典】産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/081219/biz0812192238021-n1.htm
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私には、特にトヨタの経営悪化は、衝撃がありました。
私自身は経済音痴ですから、
トヨタに詳しいわけではありません。
しかし経済音痴であるからこそトヨタ神話は大きくあって、
日本の資本主義の最大成功社が、赤字になる今回の事態に
驚いたのです。
どうじに、私の前提にしている複雑系の歴史観と、
あまりにも符合して、
そのことも、驚きがありました。
この金融危機が、
椹木野衣さんが言う様なリセットではありませんが、
しかし、大きな構造変化であることは、
どうも、確かな様なのです。
世界は強制的な調整の嵐にさらされているのです。
それは現代アート界も同様なのです。
そして現在の調整が巧く行く保証はありません。
欧米中心にされている金融緩和と多額の財政出動も、
禍根を将来に残すものです。
各国の財政赤字は増大し、
財政赤字を増大させ過ぎた国は、
競争力を失い、
将来、破綻するでしょう。
それは美術界も同様なのです。
今回の現代アートバブルの根底にあるのは、
モダンアートの《象徴界》中心の《ハイアート》美術運動の終焉です。
1975年以降《想像界》《現実界》の2極を中心にした
《ローアート》の台頭の波が、
何波か起きて、崩れて来ました。
今回の崩壊も、その大きな一つです。
今回の調整が進んでも、
昔のモダンアートのような《象徴界》中心の《ハイアート》に、
戻って行くものでは、ありません。
私は、村上隆は調整の波をかぶって、
衰弱するとは思いますが、
しかし彼の芸術起業論の本質は、
消えてなくなるとは、
考えられません。
それは奈良美智にも言えて、
奈良美智の作家力そのものは衰弱するでしょう。
しかし奈良美智にみられるような《自己愛》性人格障害的な
自己中心主義的制作態度は、
今後も、美術界の多数を占めて行くだろうと思います。
そしてまたシニフィエ(記号内容)的作品の跋扈も、
続くであろうと思います。
歴史の連続性は、
強固なものであると、
考えます。
さて、話は戻ります。
700万人の失業時代をどうするのか?
美術史的には、
1929年の世界大恐慌、そしてその前の1923年の関東大震災恐慌といった、
5つの連続する恐慌の時代に、
日本洋画を売る新興の洋画商が出現して来ます。
その歴史を反復するとすれば、
新しいアートを売る新興美術商が登場してくるのかも
しれません。
脱ー近代の運動としての新しいアートは、
まだまだ、運動を展開して行くだろうと、
私は思います。
自分が、その敷居を超えられるかは疑問ですが、
それでもなお、果敢に、挑むというのが、
私の方法ではあります。
前にも書いたような内容になってしまっていますが、
一つは、伝統的な版画に代わって、
出力画像の作品を売れないかという、
思いがあります。
私自身はだれにも評価はされないままに、
出力作品を作り続けて来ています。
それは初期からシルクスクリーンなどの作品を、
私が作り続けて来ていて、
グラフィック作品制作は、継続性のあるものなのです。
もう一つは、作家の作品としてですが、
ギャラリー活動をやるということです。
それは拙著『彦坂尚嘉のエクリチュール』にも収録している、
日本の初期洋画商の形成史に関連したもので、
これもまた、長い時間を費やして、来ているものの
決算としてです。
準備は進めてはいますが、まだ、
一段階のハードルが残っています。
自分だけではないので、
他人を説得する事は、
むずかしい事ではあります。
来年早々には、動きたく思います。
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