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村上隆の壁紙 [アート論]

さて、村上隆のブルックリンの展覧会場の写真は、
ネットの画像で見ると、
その過剰な装飾性は、かなり気になるものです。

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murprevdsc00075.jpg
murakami_flower_ball.jpg
《想像界》の眼で《13流》のデザイン的エンターテイメント。
《象徴界》の眼で《13流》のデザイン的エンターテイメント。
《現実界》の眼で《13流》の《真性の芸術》

《想像界》だけの美術。
液体美術。
《ローアート》、《気晴らしアート》
takashi_murakami_02.jpg
2008040820-2.jpg
takashi-murakami-retrospective-moca1.jpg
ニューヨークのリトルボーイ展は、
私は見に行っていますし、
パリのカルチェでの塗り絵展も、
私は見に行っています。

ブルックリン・ミュージアムの村上隆の個展は、
見に行く予定だったのが、
体調を崩して予定を断念して、
見に行っていません。

巡回で4カ所を回るので、
最後のビルバオを目指していますが、
この世界大恐慌の再来で、見通しはたちません。

この世界大恐慌と、村上隆展や、
ダミアン・ハーストのササビーズでの個人オークションが、
同じ年になったという事に、
私は偶然以上の深い意味を見ます。

さらには李 禹煥のニューヨークでの2会場を使った個展が、
昨年ではなくて、
この世界大恐慌の年に、
しかもタイミングもあって、
同時期に開けれていることには、
象徴的な意味があると考えます。

さらには、次回のベネチア・ビエンナーレの作家に、
やなぎみわ が決定したなども、
象徴的です。
これが1年前であったら、
ずいぶんと評価の面で変わるでしょう。

こうした重なりに、
大きな美術史的な必然性があると、
私は思います。

Murakami.jpg
2008040820-7.jpg
《想像界》の眼で《13流》のデザイン的エンターテイメント。
《象徴界》の眼で《13流》のデザイン的エンターテイメント。
《現実界》の眼で《13流》の《真性の芸術》。

《想像界》の作品。
液体美術。
《ローアート》《気晴らしアート》
2008040820-7**.jpg

こうした壁紙を使った路線は、
少なくとも水戸芸術館の日本ゼロ年でもありましたが、
大きく登場したのは、
私が見た中では、
パリのカルチェの塗り絵展の時でした。

この時には、花柄の壁紙を、
天井高の高い空間に貼り巡らして、印象的でありました。
村上隆さんとも、立ち話をして、
天井高を聞きましたが、知らないとのことでした。

さてこうした花柄の壁紙に見られる装飾性は、
芸術的には、まずいものです。
芸術というのは、装飾を受け入れたとしても、
あくまでも抑制的に扱わないと、
成立しないからです。
装飾で暴走することは、芸術的自滅に至ります。
もちろん、それを逆手に使っているのであって、
《現実界》では《真性の芸術》性を持っているのではありますが、
それでもなお、その空虚性は、気になります。

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村上隆の、今までの作品展開を見ていると、
基本的には独創性はなくて、すでにあるものを下敷きにした
模倣的展開です。
それは《ローアート》特有と言える本質性を持ってます。

つまり村上隆の作品は《ローアート》であって、
模倣の連鎖の上に成立しているのです。

では、この壁紙のお手本は誰なのでしょうか?
言うまでもなく、アンディ・ウォーホルです。
アンディ・ウォーホルの牛の壁紙は、有名なものです。
日本でも1970年初頭に大丸デパートで行われた、
初めてのアンディ・ウォーホルの展覧会で、
このピンクの牛の壁紙は、貼られて、
その不快感をまき散らしていました。

さて、下記の写真は、
アンディ・ウォーホルの美術館でのものです。
私は見に行っていませんで、
清水誠一さんは見に行っています。

3Andy-Warhol-Cow-1-.jpg
《想像界》の眼で《8流》のデザイン的エンターテイメント。
《象徴界》の眼で《21流》のデザイン的エンターテイメント。
《現実界》の眼で《8流》のデザイン的エンターテイメント。

《現実界》の作品。
気体美術。
《ローアート》《気晴らしアート》


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alexisdossantos2.jpg
national gallery scotland andy warhol gun cow wallpaper.jpg
moma-topper.jpg
IMG_4519.jpg
《想像界》の眼で《21流》のデザイン的エンターテイメント。
《象徴界》の眼で《21流》のデザイン的エンターテイメント。
《現実界》の眼で《21流》のデザイン的エンターテイメント。

《現実界》の美術。
気体美術。
《ローアート》《シリアス・アート》


finch12-6-2.jpg
Andy Warholl.jpg
《想像界》の眼で《21流》のデザイン的エンターテイメント。
《象徴界》の眼で《21流》のデザイン的エンターテイメント。
《現実界》の眼で《21流》のデザイン的エンターテイメント。

《現実界》の美術。
気体美術。
《ローアート》《シリアス・アート》

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

さて、偏見や憶測、そして悪意や嫉妬を離れて、
あくまでも芸術分析としての学問性を追究して行く必要があります。

アンディ・ウォーホルと村上隆の壁紙だけを比較します。

両方とも、まず、《ローアート》です。
壁紙という形式そのものが、《ローアート》であると言えます。

壁画と、壁紙は違うわけで、
たとえばポンペイの壁面装飾は、壁画なわけです。

壁紙の発生は、
壁画や、タピスリー、布・皮の壁掛け、木製の板パネルの安価な代用品として発展したのです。

つまり壁紙というのは、室内の壁面(壁)にはるためにつくられた装飾的な紙で、壁紙の歴史は、織物の様式の変化や印刷技術の発展と密接に関係していると言われます。

装飾をおもな目的とするのですが、壁のひび割れや傷をかくすといった実用的な用途もあります。

下記のような壁紙美術館もありますが、私は行っていません。紙

MUSEE DU PAPIER PEINT
28 rue Zuber
68170 Rixheim France
TEL: 0389642456
http://www.museepapierpeint.org/

壁紙美術館は、200年にも及ぶ壁紙の歴史を紹介している美術館です。中でも部屋いっぱいに広がるパノラマ壁紙は一見の価値アリ、当時のブルジョワな生活風景が伺えます。
ミュルーズの町の近くです。

パノラマといわれる壁画のような壁紙(2)
パノラマといわれる壁画のような壁紙

パノラマといわれる壁画のような壁紙

 



アンディ・ウォーホル以外にも、壁紙的な作品は、
あります。
すぐに思い出されるのは、ダニエルビュランの作品です。
DanielBuren_525x135.jpg
《想像界》の眼で《6流》のデザイン的エンターテイメント。
《象徴界》の眼で《6流》のデザイン的エンターテイメント。
《現実界》の眼で《6流》のデザイン的エンターテイメント。

《想像界》の作品。
固体美術(前近代美術)
《ローアート》《気晴らしアート》

ダニエル・ビュランは、それこそポンピドーでの個展まで含めて、
けっこうたくさん見て来ていますが、
フランス現代美術のひどさを象徴する凡庸アーティストであって、
芸術とデザインの区別のつかないアーティストであるのです。

あと、建築家の田中陽明が、オリジナル壁紙をつくって、
空間を埋め尽くしているのを、
私は、見に行っています。
残念ながら、画像がありません。

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村上隆とアンディ・ウォーホルの壁紙を比較すると、
アンディ・ウォーホルの壁紙が、《現実界》の美術であるのに対して、
村上隆のそれは、《想像界》の美術です。

それは今日の情報化社会が、
《想像界》の美術と、《現実界》の美術の両方で成立している時代なので、
この違いそのものに、優劣はないと、一応しておいていいと思います。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
アンディ・ウォーホルは、気体美術ですが、
村上隆は液体美術です。

私見ですが、
私は現代美術ですから、
気体美術の方が、新しいと思います。
村上さんは、古いのです。

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アンディ・ウォーホルの壁紙が、《シリアス・アート》になっているのに、
村上隆の壁紙が、《気晴らしアート》であるという違いは、
見ても、明らかですが、
アンディ・ウォーホルの方が、
芸術的な意味でのレベルは上であると言えます。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

アンディ・ウォーホルの壁紙が《21流》であるのに対して、
村上隆のそれが《13流》であるのは、
単純な格付けで言えば、村上隆の方が上であって、
その意味で、村上隆の壁紙は、作品として、
一応の成立が、アンディ・ウォーホルとの
相対位置としては、成功しています。

先日、ウィリアム・モリスアーツ・アンド・クラフツ運動の
展覧会を埼玉近代美術館に見に行って来て、
壁紙もたくさん見ました。
これが《21流》でした。

村上隆の壁紙は、その意味で《13流》に格を上げた事において、
評価に値するものです。

つまり壁紙でも、高い格の表現は作りえるのかもしれません。
《6流》とか、《3流》の壁紙を探してみたいと思います。
《6流》というのは無印良品ですので、無印良品の壁紙を探しましたが、
うまく見つけることが出来ませんでした。
業者がもっている、壁紙の見本の方が早いでしょうね。
《6流》は、確実にあるはずです。

話は逆で、むしろ《6流》を《21流》とか、《13流》に下げた壁紙をつくることに、
意味があるのでしょう。
だとすれば《31流》の壁紙とか、
《41流》の壁紙をつくるというのは、凄いかもしれません(笑)。








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DZgunrock

ロン・ミュエットを検索していたら、
ここを見つけました!
私のページにも遊びに来てね!
LOVEDZG
by DZgunrock (2008-10-11 19:39) 

DZ

何十何流とか、よく分かんないけど・・・
このブログなかなか!!
by DZ (2008-10-11 19:59) 

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