ストライプの美術と楳図かずお(校正1加筆1) [アート論]
ウッドペインティング#1(1969)、100号F、木、ビニール
造型作家同盟展(多摩美術大学バリケード内)[消失作品]
ウッドペインティング#2(1969)、100号が2枚、木(杉材)
造型作家同盟展(多摩美術大学バリケード内)[消失作品]
冒頭から、自分の作品を、しかも1969年という、23歳の時の
今から40年も前の作品をお見せして、申し訳なく思います。
バリケードの中で開催された美術展での発表です。
マイナーそうですが、針生一郎、遠野芳明、中原佑介諸氏も見に来ていますし、
斉藤義重をはじめとする多摩美術大学の教授や、美術手帖も見に来ています。
作品としては白木を使っていますが、
それは斉藤義重の白木作品よりも、はるかに早いのです。
(斉藤義重は、若い作家のものをパクルという噂が根強くありましたが、
白木の作品も、私のをパックッたと考える事も、出来ない事ではないのです。)
ストライプの美術について探求しようとするという
私の意欲そのものは、このデビュー作品に、根拠があるのです。
木の板をストライプ状に張った板の作品ですが、
構造的には、ストライプです。
最初の#1の作品を芸術分析してみます。
《想像界》の眼で《第1次元》のデザイン的エンターテイメント
《象徴界》の眼で《第1次元》の《真性の芸術》
《現実界》の眼で《第1次元》のデザイン的エンターテイメント
《象徴界》の作品。気体作品。
《シリアス・アート》《ハイアート》
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さて#2の方は、2枚のパネルで1点として芸術分析をします。
作品の杉板は、鉄のブラシで執拗に擦られて仕上げられています。
基本は#1と同じですが、《現実界》の作品になっています。
《想像界》の眼で《第1次元》のデザイン的エンターテイメント
《象徴界》の眼で《第1次元》の《真性の芸術》
《現実界》の眼で《第1次元》のデザイン的エンターテイメント
《現実界》の作品。気体作品。
《シリアス・アート》《ハイアート》
つまり、私は作品を《象徴界》のそれから、
《現実界》に還元するところから始めているのです。
人間と言うのは、初心を忘れるものなのです。
深い所で、忘れるメカニズムが働いています。
私自身が、この《現実界》への還元からの出発を忘れていたのです。
ですから、こうした自然の心理に逆らって、
ストライプ構造という、自分の出発点を洗い直すことは、
極めて重要な事なのだと、私は思います。
この1969年という時期には、実はストライプの作品は、
はやっていたのです。
その代表にカール・アンドレがいます。
《想像界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント
《象徴界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント
《現実界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント
《現実界》の作品。気体作品。
《シリアス・アート》《ハイアート》
以上のようなカール・アンドレの作品が、デザイン作品でしかなかった
ということは重要です。しかも《第6次元》の作品です。
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さて、下の図版のドナルド・ジャッドの作品も、
実は横ストライプであると言えます。
下の図版のジャッドは、縦ストライプと、言える構造です。
縞模様のストライプは、こうして立体状態でも、成立するものなのです。
ジャッドも芸術分析をしておきます。
《想像界》の眼で《超次元》のデザイン的エンターテイメント
《象徴界》の眼で《超次元》の《真性の芸術》
《現実界》の眼で《超次元》のデザイン的エンターテイメント
《象徴界》の作品。気体作品。
《シリアス・アート》《ハイアート》
ジャッドの作品は、アンドレが《第6次元》であったのに対して
《超次元》であることと、《象徴界》の作品であって、
アンドレの《現実界》の作品とは、異質なものなのです。
そしてアンドレが純粋のデザイン的エンターテイメントであったのに
対して、ジャッドは《象徴界》では《真性の芸術》でありました。
ジャッドもアンドレも、美術史的には同じミニマリズムの作家では
ありますが、芸術分析的には、ジャッドが格段にすぐれていたのです。
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もう一人、ウオーター・デ・マリアもストライプの立体版を良く作っています。
ウオーター・デ・マリアの作品
《想像界》の眼で《超次元》のデザイン的エンターテイメント
《象徴界》の眼で《超次元》のデザイン的エンターテイメント
《現実界》の眼で《超次元》の《真性の芸術》
《現実界》の作品。気体作品。
《シリアス・アート》《ハイアート》
ジャッドが《象徴界》の作品であったのに対して、
ウオーター・デ・マリアの作品は、《現実界》の作品であったのです。
ウオーター・デ・マリアの作品は、金属の棒を並べたものですから、
作品の形状的にも、ジャッドとは違いますから、
こうした違いが、芸術の異質性を生んでいても、おかしくはありません。
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漫画家の楳図かずおはストライプが大好きです。
しかも赤と白のダンダラです。
楳図かずおの顔
《想像界》の眼で《第41次元》の《真性の芸術家》
《象徴界》の眼で《超次元》の《真性の芸術家》
《現実界》の眼で《第41次元》の《真性の芸術家》
《想像界》《象徴界》《現実界》の3界をもつ重層的な人格
気体/液体/固体/絶対零度の4様態をもつ多層的な人格
《気晴らしアーティスト》《ローアーティスト》
そして家まで建ててしまったのです。
《想像界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント
《象徴界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント
《現実界》の眼で《第41次元》のデザイン的エンターテイメント
《想像界》の建築、 固体建築
《気晴らしアート建築》《ローアート建築》
「まことちゃん」で知られる漫画家の楳図かずお氏(72)が東京・吉祥寺に新築した赤白ボーダー模様の自宅について、景観を損ねるなどとして近隣住民2人が、外壁撤去を求めた訴訟の口頭弁論が29日、東京地裁で開かれた。 楳図氏は赤白ボーダーのネクタイ姿で初出廷。赤白について「高校時代からの トレードマーク。赤は元気、白は無垢(むく)を表す」と訴えた。 新居を「大変美しい」とし、原告側の主張に「悪意を感じる。新参者の私へのイジメだ」 と主張。原告も屋根にある「マッチョメマン」塔の目に当たる窓ガラスが「点滅を始め、 おぞましい」と応戦した。 原告は昨年8月、工事差し止めの仮処分を申請。同地裁が同10月に却下したため、 申請を(1)外壁撤去(2)撤去まで毎月10万円の支払い求める-などに変更した。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ その後の展開です。 1月28日16時46分配信 時事通信 自宅の外壁撤去を求められた訴訟の判決で、東京地裁は「景観の調和を乱すとまでは認められない」として住民側の請求を棄却した(28日、東京・霞が関) 「イジメだ」vs「おぞましい」
まことちゃんハウス訴訟
赤白外壁「景観乱さず」=楳図さん勝訴
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赤のストライプのビルは、まことちゃんの家だけではありません。
1969年(昭和44年)建設の
赤坂見附に立っている
赤坂エクセルホテル東急があります。
この1969年という年号は、
最初の私の木で作ったストライプと同じ年なのです。
この赤のストライプのビルが出来たとき、
私には強烈なインパクトがありました。
この時期、前衛音楽家の刀根康尚さんと現象学研究会をやっていたので、
毎週このビルの裏にあった刀根さんのアパートに通っていたのです。
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ストライプのビルというと
1981年に写真家の塚原琢哉が設立したストライプハウス美術館がありました。
2000年に美術館が閉鎖後、
2001年12月に3階をギャラリーとする現在の形態で設立されました。
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ストライプの美術というと、すぐに絵画を思い浮かべますが、
むしろ建築の中に、ストライプは使われて来ていて、
起源は、建築ではないかと、考えられます。
さて、次の3点は、五十嵐太郎さんに問い合わせて、
教えていただいたものです。
まず竹山実の一番館
マリオ・ボッタの作品
そしてSan zeno教会
五十嵐さんに問い合わせをしたのは、
このSan zeno教会が思い出さなかったからでした。
イタリアを旅行すると、実は、いくつかの、こうしたストライプ建築で、
印象深いものがあるのです。
ピサには行っていますが、ピサの建築構造もストライプをいえます。
つまり、実はストライプは、建築の領域に、起源がありそうなのです。
イスラム建築にもストライプはあります。
ピサの建築から分かる様に、
実はギシリアの建築がストライプ構造です。
ピラミッドにも、ストライプがあります。
そして、それよりも前の巨石文化の中に、
ストライプの構造があるのです。
つまりミニマリズムの美術に見られる立体作品や、
インスタレーションの作品にあるストライプ構造は、
こうした人類の初源の美術構造への回帰にあるのでした。
では、何故に回帰し、そしてそれはその先、
どこへ行こうとしたのでしょうか?
現代美術でストライプの嚆矢というとジャスパー・ジョーンズの星条旗
を想起しますが、彼は夢の中で自分が星条旗を描いているのを観て実行したと聞きます。
それに想を得たフランク・ステラのブラック・ペインティング
これも現実界の作品でしたでしょうか。
by 丈 (2009-01-15 15:19)
ステラは現実界です。
ジャスパージョンズがストライプ絵画の嚆矢というのは、誤った神話に過ぎません。迷信なのです。クレーの絵画にストライプの絵画があります。
by ヒコ (2009-01-15 18:42)
規則的な繰り返しであるストライプは,それが厳密に成る時
一種の緊張を見る人に強いるようなところがあるように思います.
ミニマル・アートとなると,それは見かけの静謐とは裏腹に
緊張が苦痛に到るまで高まった感があります.
なぜかは分からないのですが,おそらくリズムの感覚と
切り離せないなにかではないでしょうか.ちょっとジャンプするのですが
拷問の一つに中国式水滴拷問というのが有るそうです.
アメリカ留学中セミナーで質問もせずぼんやりしていたら
「君にとっては今はtortureの時だろう」と友人のポストドクに
からかわれました.拷問という単語を知らなかったので「torture?」
と聞いたら皆が爆笑,それから奇妙な拷問があるということで
chinese water tortureの話で皆がもりあがりました.水滴を規則的に
ゆっくりとした一定間隔で額の上に落とすと,あまりの苦しさに
錯乱してしまうというのです.そんな馬鹿な,とその時は思った
のですが中国由来は疑問としても確かに存在したみたいです
(自分で試す気はもちろんありませんがW).
http://en.wikipedia.org/wiki/Chinese_water_torture
正確なリズムを受け入れることはおそらく人間の感覚の本性と
どこかで対立する何かがあるのかもしれません.1/fゆらぎのような
ものが有った方がリズムを受け入れ易い.しかし芸術はどこか
究極を求めるところがあり,ミニマルのような禁欲的様式もタブー
としなかったとも言えそうです.しかしストライプの高度な規則性に
よりそってもそれに耐えられる個性というのは,どこか普通ではない
精神を抱えているようにも思えます.僕も単調なリズムを使った
作曲を試みたことが有るのですが,凡人のせいかほんの出だしだけで
すぐにそれをくずしてしまいました.通俗的なリズムというのは逆に
あまりにも緊張感が少なく気楽で不愉快ですが.
http://symplexus.blog.so-net.ne.jp/2008-03-29
by symplexus (2009-01-15 22:48)
ストライプ構造は音楽にまで広げて解釈できるのですね。
波という運動がストライプ構造なのでしょうか。
by 丈 (2009-01-16 16:29)
stripeという英語の意味を調べると、縞という意味の他に、紐などの細長い一片、symplexusさんのいう拷問に近い鞭打ちおよびその痕、刃物で切った痕、また人物などのタイプという意味もあるようです。
細長い一片ということから僕が思い出したのはMartin puryearという作家です。細長い木の作品があります。
http://www.artsjournal.com/man/MartinPuryearAdAstra.jpg
http://cghs.dade.k12.fl.us/african-american/twentieth_century/box_pole.htm
by 佐藤大輔 (2009-12-06 16:34)