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若手作家(3)山本太郎の《1流》A級絵画[加筆4改稿2] [アート論]

某所より、電話がかかって来て、
「山本太郎の評価は、意外だ。
山本太郎は下手で、仕事も粗い」というご批判をいただいた。

田嶋奈保子さんの時にも、
作品が下手だという批判はもらっているのだが、
たしかに彼女は武蔵美術大学のガラス出身で、絵画の教育は受けていない。

私からすると、巧いと言う評価の高い山口晃や会田誠が、
下手に見えるのであって、評価する価値観が違うのです。

一番極端な例を上げると、私はフェルメールを下手な画家だと思って
いる。もっとも、昔、芸術新潮でフェルメール特集をした時に、私と
同じ事を言っている人がいて、共感したことがある。しかし、多くの
人は、フェルメールを巧いと思っているようだ。それは絵画の全体を
見ていないからだし、絵画構造に無知だからにほかならない。

しかし、あらゆる目利きは間違えると言う事も事実です。グリンバーグ
もカラーフィールド・ペインティングは間違えている。ケネスクラーク
になると、やたらに間違えている。白洲 正子の眼は《第6次元》に過ぎな
い。青山 二郎の眼も《第1次元》に限られているし、中国物は《21流》
を多く買っている。言おうとしているのは、目利きの確率をいうのは、
野球のバッターと同じで、10割はあり得ないと言う事です。かならず、
間違いはある。だから彦坂尚嘉も間違える。だからこそ、間違えを恐れずに、
他人を説得できない内容でも、自分の責任で、果敢に評価をして行く。

とりあえずは、そういう反論で止めておいて、
山本太郎についても、田嶋奈保子についても、
私が意見を変えざるをえなくなれば、強弁をしないで、
報告はします。


しかし現在の時点では、下記に書いているように、
オプティカル・イリュージョンが、やや弱いにしても、
成立していて、私は《第1次元》の絵画として、
描けていると評価しているのです。 

最初の回の若手作家で《第6次元》が多かったこともあって、
《第1次元》を2人見つけて、それなりに強調をしたく思いました。
私自身は《第1次元》が好きなわけではなくて、《超次元》や
《第41次元》、つまり《超1流》や《41流》が好きなのです。
だから、ほめておいてなんですが、山本太郎を押しているというの
でも無いのです。言っているのは《第1次元》で、《透視画面》で
あり、非実体的であり、そして非合法性や《退化性》をもっている。
そういう事実を言っているのです。
 
ピクチャ 5.png

《想像界》の眼で《第1次元》の《真性の芸術》
《象徴界》の眼で《第1次元》の《真性の芸術》
《現実界》の眼で《第1次元》の《真性の芸術》

《想像界》《象徴界》《現実界》の3界をもつ重層的な表現
気体/液体/固体/絶対零度の4様態をもつ多層的な表現

《シリアス・アート》《ハイアート》
シニフィアン(記号表現)の美術

《透視画面》『オプティカル・イリュージョンの絵画』【A級美術】
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

伝統的なものと、電信柱を合わせて描くと言う事は、
須田国太郎も戦中にやっている。
画像を探したのだが、須田の代表作だが、
見つからなかった。
五重塔と電信柱に裸電球が描いている。

こういう題材は、私たちの日常性として、
前近代の古典と、産業社会の日常品とのミスマッチな混在という
リアリティに他ならない。

山本太郎の作品を和物のパロディ絵画として見るだけではすまないのは、
こうしたミスマッチなチグハグさが、
実は農業化社会という固体社会と、
産業革命を経た産業化社会の液体社会の2重性が生む、
チグハグさとして現実だからにほかならない。
このことは日本固有の現象ではなくて、ローマでも見られるし、
ロンドンでも見られる現象なのであります。

たぶん、情報革命が本格的に1991年に始まって、
私たちは情報化社会という別の次元に立ったからこそ、
農業化社会の日本の古典と、産業化社会の電柱やケンタッキーフライド
チキンといったものを同時に過去として対象化して描くことができる
ようになった。もはや両方が過去であり、
古典として等価になったのです。

ピクチャ 9.png
ピクチャ 2.png

山本太郎


1974
熊本県生まれ
Taro Yamamoto
1999
ニッポン画を提唱
 
2000
京都造形芸術大学美術学科日本画コース卒業
 
 ピクチャ 4.png

 
|主な個展|
1999
「ニッポン画」(複眼ギャラリー・大阪)
 
2001
「天晴レ日本°」(日下画廊・大阪)
 
2002
市中の庵「米村庵」(複眼ギャラリー・大阪)
 
2003
両A面展「火鳥風月/動食彩絵」(立体ギャラリー射手座・京都)
「ニッポン画大全」(Pepper's Gallery・東京)
「平成美人画曼荼羅」(美容室マンダラ・京都)
 
2004
「住吉ニッポン画詣」(ストリートギャラリー・神戸)
「涅槃?-NIRVANA?-」(Pepper's Loft Gallery・東京)
 
2005
「Who's clothes?-誰ケ袖-」(立体ギャラリー射手座・京都)
「銀の波 金の星」(銀の波/ひかり蔵・金沢)
 
2006
「ヒーロー来迎 HERO Ray GO!」(ギャラリーレイ・名古屋)
「日本°画屏風祭」(立体ギャラリー射手座他京都市内9会場) 
「水泡の恋〜長谷雄草子より〜」(ニュートロン・京都)
 
2007
「ビューティフルニッポン」(ストリートギャラリー・神戸)
「誰ソ彼日本°」(銀の波箔座・金沢・元麻布ギャラリーTOYAMA/富山)
 
2008
イムラアートギャラリー(京都)
「風刺花伝」高島屋 美術画廊(新宿・京都)
 
2009
山本太郎展 (美術館「えき」KYOTO)
 
 ピクチャ 6.png
 
|主なグループ展|
1993
「1人展×5」(画廊喫茶ブラウン・熊本)
 
1997
「タブララサ展」(四条ギャラリー・京都)
 
2000
「MIXEDUP」(複眼ギャラリー・大阪) 
「私が描く21世紀の美術館展」(スペースレインボー・熊本)
 
2002
「DISCOVERIES-GROUP1」(フローレンスリンチギャラリー・ニューヨーク)
 
2003
「日本画は死んだか?」(浮遊代理店・奈良) 
「みつば展」(よつばカフェ・奈良)
 
2004
「京都府美術工芸新鋭選抜展」(京都文化博物館・京都) 
「小さな古い家のために」(複眼ギャラリー・大阪及び大野邸・奈良)
 
2005
「ニュートロンに初詣」(ニュートロン・京都) 
「日本画ジャック」(京都文化博物館) 「アナザームーブメント」(金沢)
 
2006
「二人の太郎は同じ初夢を見るか?」(ニュートロン・京都) 
「『砂の女』と現代の美術」(京都芸術センター) 
「キラキラジェネレーション」(ギャラリーレイ・名古屋) 
「混沌から躍り出る星たち2006」(ギャラリーオーブ・京都/スパイラルガーデン・東京)
ニッポンvs美術 (大阪市立近代美術館(仮称)心斎橋展示室・大阪)
 
2007
VOCA(上野の森美術館) 
KIAF(韓国国際アートフェア)(COEX・ソウル 韓国) 
「日本画滅亡論展」(Cスクエア/中京大学・名古屋)
「美術のボケ展」(CASO/大阪) 
「RANGA-現代蘭画-」(フォーエバー現代美術館/秋田)
 
2008
「日本画の精華−江戸から現代まで」 (富山県水墨美術館/富山)
 
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|受賞歴|
1999
第四回昭和シェル石油現代美術賞入選
 
2000
フィリップモリスアートアワード2000入選
 
2007
VOCA2007 VOCA賞
 
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|その他|
2007.7-9
新作狂言「狂言なんかこわくない」
 
 
演出・脚本・出演:わかぎゑふ 出演:茂山正邦 茂山童司 茂山あきら
舞台のトラップに紅白幔幕図を原画に使用 (沖縄・大阪・滋賀・奈良などを巡回)
 
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|主なコレクション|
 
日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社
第一生命保険相互会社

ピクチャ 11.png
《想像界》の眼で《第1次元》の《真性の芸術》
《象徴界》の眼で《第1次元》の《真性の芸術》
《現実界》の眼で《第1次元》の《真性の芸術》

《想像界》《象徴界》《現実界》の3界をもつ重層的な表現
気体/液体/固体/絶対零度の4様態をもつ多層的な表現

《シリアス・アート》《ハイアート》
シニフィアン(記号表現)の美術

《透視画面》《非-実体性》《退化性》《非合法性》
『オプティカル・イリュージョンの絵画』
【A級美術】
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作品的には、山口晃との関係が問われるだろう。

ce1a9235.jpg
山口晃
《想像界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント
《象徴界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント
《現実界》の眼で《第6次元》のデザイン的エンターテイメント

《想像界》の美術、固体(前近代)美術。

《気晴らしアート》《ローアート》
シニフィエ(記号内容)

《原始平面》『ペンキ絵』【B級美術】
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
山口晃の絵画を「うまい」という評価が高いが、
それは絵の部分を見て言っているのであって、
絵画の全体を見て、その空間の構造性を見ると、
かなりひどいものなのです。

それは単に細かいからと言うものではなくて、
絵画を構造としては考えないで、単に細部のイラストレーションに
捕われているからです。

山本山口.jpg
山本山口2.jpg
山本太郎                  山口晃
《想像界》の眼で《第1次元》の《真性の芸術》《想像界》の眼で《第6次元》のデザイン
《象徴界》の眼で《第1次元》の《真性の芸術》《象徴界》の眼で《第6次元》のデザイン
《現実界》の眼で《第1次元》の《真性の芸術》《現実界》の眼で《第6次元》のデザイン

想像界》《象徴界》《現実界》の      《想像界》の美術
     3界をもつ重層的な表現
気体/液体/固体/絶対零度の4様態     固体(前近代)美術
        をもつ多層的な表現

シリアス・アートハイアート     《気晴らしアート》《ローアート
シニフィアン(記号表現)の美術       シニフィエ(記号内容)の美術

透視画面》                《原始平面
オプティカル・イリュージョンの絵画』   『ペンキ絵
A級美術】                【B級美術


アイディア的には、山口晃に約10年遅れて出発している和物絵画だが
作品の画格的には、山口晃の《6流》に対して、
山本太郎が《1流》であるので、亜流とは言わなくて良い。

作品の格を上げた場合には、模倣とは言わないというルールがある
のです。

《第6次元》から《第1次元》へと、
こうした和物のパロディ絵画が、発展をして来ていると言えます。

絵画的には、オプティカル・イリュージョンが出ていて、
《第1次元》の《真性の芸術》になっている事を、
高く評価します。
もうちょっとオプティカル・イリュージョンをきれいに出して欲しい
という感じはしますが・・・
こういう絵画の専門家としての批評が、今日の美術批評から消えてし
まっているところに、日本の現代アート界の深い問題があります。
ともあれ、山本太郎の作品は、《シリアス・アート》で、
《ハイアート》なのです。

この場合、画題のジョーク性から、《気晴らしアート》だと思う人が
いるだろうと思うのですが、私の言っている意味は、
絵画構造の組み立てとして《シリアス・アート》になっていると
言う事です。

同様な事は、ケンタッキーを使っているから《ローアート》だと
考える方がいるかもしれませんが、世俗的な主題に下降して来ている
のは、美術史の大きな流れであって、和物のパロディという主題性
そのものが、絵画としてきちんとした構造性を持って描かれていれば、
それは《ハイアート》になり得るのです。

つまり《シリアス・アート》《ハイアート》と言う区分は、
主題に対してではなくて、絵画構造や芸術構造そのものに対して、
《シリアス》であるかの問題なのです。
山本太郎は絵画や芸術構造に対してシリアスな美術家であり、
それに対して山口晃は、《気晴らしアート》《ローアート》系の
画家であるのです。だから人気があるのです。
多くの人は、きばらしを求めているのですから。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

この山本太郎を《1流》の《シリアス・アート》であると評価すること
を彦坂尚嘉がしているなどということを、藤枝晃雄先生が知れば激怒
なさるかもしれないし、彦坂を信用しないと言われるだろうと思う。

しかし国宝である雪舟の四季山水図から、能面の雪の小面、さらには
日本刀の銘備前国包平作(名物大包平)、書の藤原佐里の『恩命帖』 

私の皇居美術館空想という作品の中で示したこれら古美術から、
現代の若手の作品、
そして無名の新人の作品までを
統一した一つの方法で芸術分析をするというのが、
彦坂尚嘉の新美術批評なのです。

それは、当然のように海外の作品にまで及びます。
それが帝国美術館物語という作品です。
ブッシュが作ったというマンハッタンの帝国美術館に、
世界中の《超1流》の《超次元》作品を集めようという構想です。
当然、世界中の美術をチェックしなければならない。

何よりの特徴は、画像で判断して行くという
情報化社会の方法だと言う事です。

旧現代美術批評家は、
今日のインタネットに対応を欠いている人が、
多いのです。

美術批評は、複雑系の現在の美術状況に対応するものに、
改革されなければならないのです。

しかも厳密性をもった主観の学問としての、
一貫性が必要なのです。

しかし内部改革は不可能だと、判断します。
美術界の外部で、新しい知性を求めて、教育活動をする。
それが立教大学大学院での私の授業の目標です。

日本の美術評論家の多くが《自己愛》性人格障害者です。
だから、美術について探求をしていかない。
彼らは、ただひたすら自分の蛸壺にこもっている。
ナルシズムに溺れているのです。
彼らは美術を、学問としての蓄積しないし、厳密さも追いかけない。

《自己愛》性人格障害者ではない、美術の知性が必要なのです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
次のカンノサカンに続く

タグ:山本太郎
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コメント 3

佐藤大輔

学生の佐藤です。先日はご対応ありがとうございました。
作品を買うわけではないですが、今の流れに便乗して、リクエストをお願いしたくコメントをします。若手の理論家と目されている田中功起を見ていただけないでしょうか?映像作品が主なので難しいかもしれませんが…         それとイギリスのロックバンドのジョイ・ディヴィジョンについて御関心と機会がありましたら何か書いていただけませんか?   先日、スコセッシのシャイン・ア・ライトを見てきました。ストーンズは僕の音楽性の基盤なのですが、基本的なロック音楽というのはやはり実体的で充実してるのだろうなと映画を観て思いました。その点ジョイ・ディビィジョンは抑制があり、空洞が感じられて、芸術化してると思うのです。ピストルズという6流の野蛮の音楽の直後にこういう音楽がイギリスで出てきたのも面白いと思います。
by 佐藤大輔 (2009-01-31 14:17) 

ヒコ

佐藤大輔様
ご質問ありがとうございます。
別のブログで書くつもりです。
by ヒコ (2009-01-31 19:28) 

女の子との付き合いビギナーのビギナーズラック

vqi/$Sha, speak.ginzamoonlight.com, 女の子との付き合いビギナーのビギナーズラック, http://speak.ginzamoonlight.com/saitama/32.html
by 女の子との付き合いビギナーのビギナーズラック (2011-04-20 03:38) 

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