監視社会化の進展/強姦被告にGPS携帯(加筆1) [歴史/状況論]
フーコーが予言したいように、 社会は、かつての規律社会から、管理社会に、すでに展開しているので すが、それでも、性犯罪者にGPS(全地球測位システム)付き腕輪や 足輪を装着させる流れが、日本社会でも始まりそうです。 こうした規律社会から管理社会のへ移行への流れは、 実は、美術や音楽にも、見られる事なのです。 人間を啓蒙し、教育する事で正しいと近代社会が 信じる様な人間には、人間そのものの本性として、 ならない事を学んだのです。 オーストラリアの「失われた世代」という 政治犯罪的実験が明らかにしたように、 教育による啓蒙は、出来ないという結論が出ている面があるのです。 オーストラリア政府は、アボリジニの子供を強制的に親から取り上げて、 隔離的に教育をして、野蛮から離脱させ、 40年にわたって、白人に同化させようとようとして、 失敗したのです。 今日の文明の方向は、 大多数(最大80%)が、文明の中の野蛮人である事を許容する代わりに、 文明の枠組みを受け入れる範囲内に封じ込めると言う考え方が、 管理社会というものだと思います。 受験戦争もそうですが、勉強をするという我慢が出来ない人間、 つまりフロイトが言う文化断念を出来ない子供は、 教育することは、おおむねは、あきらめて、それなりの対策をとる という選択を、すでにしているのです。 公立学校の教育は、すでに私の学んだ半分まで減少しているのです。 文部科学省官僚の子弟が、公立学校へは行かないで、私立に行って いるとも、聞きますが、真偽は知しりません。 つまりエリート教育の比重は、私立に移動してしまっているのです。 詳しくは、機会を見て書きたいですが、 こうした管理社会における芸術に対する態度は、 日本の場合には、極端で、芸術家を、知性の低い、 情動的に病んでいる人々の中に、封じ込めようとしているのです。 こういう管理者会の流れの中で、 文明の檻の中で泳がす新・野蛮人の芸術 あるいは、精神病院の芸術を、歓迎するというのは、分かりますが、 しかし、いつまでも、動物園や、 精神病院だけを見ているのは、飽きるのです。 芸術本来の高さは、こうした文明の中の野蛮人の檻の見世物小屋だけ ではないのです。 本来は、レオナルド・ダ・ヴィンチに象徴されるように、 アーティストは、高度な知性が必要な職業なのです。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ともあれ、性犯罪者へのGPS装着の流れは、始まったのです。 このことは、大きいことだと思います。 社会と言うのは、フロイトが指摘したように、 性的な抑圧の上に成立しているのです。 ですから、文明を生きるのは、自分の規律として性的衝動を抑圧しな ければならないのです。強姦をしては、いけないのです。 しかしその性的衝動性を断念できないで、性的抑制を欠いている、 性犯罪常習者に対してGPS装着を装着して、監視するというわけです。 強姦などの性犯罪被害者の心的肉体的被害を大きさを考えれば、 GPS装着を、私支持します。 性と言うのは、当事者以外には分からないほどの、心的被害を、 被害者に与えるのです。 性は、プライバシーの核心であり、 神聖性を、依然として失っていないのです。 性的常習的犯罪者の人権抑圧は、 注意深く、配慮して行われるべきではありますが、 しかたがないと考えます。 否応も無く、私たちは管理者会を生きて行くことになるのです。 それはまた、過剰管理にならないように、 GPS装着に対する反対者たちからの、 当局への監視を必要としています。 GPS装着が人権侵害であると言う、 まっとうな反対意見は、必要なのです。 GPS装着に賛成という意見に一本化されることは、 極めて危険と言えます。 異なる意見の対立による相互抑止以外に、 私たちは理性を形成し得ないのです。 異論の存在が、社会には、常に必要なのです。 強姦被告、GPS携帯で居場所通知誓約…情状認め猶予刑に2月28日14時33分配信 読売新聞
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性犯罪者の行動を管理するためどうするかという議論は米国では
かなり以前から公に,しかも過激に行われていました.
確か83年,NJ州だったと思うのですが,TV特集で犯罪を繰り返す者に対しては
去勢手術をしてしまったらどうかという法改正の提案まで有ってたまげた
記憶があります.それから20年以上経て状況がどうなったのか・・.
矯正は限界があると同時に予算の問題がからんでいるのでしょう.
僅かな可能性を信じて矯正に賭けるということも理論的にはありうるにしても,
それだけの時間と金をつぎ込む価値があるのかどうかということです.
刑期を終えて出所すれば,現状では無名の大海に隠れて見えません.
だからこそ社会の安全装置として安価な監視装置が登場するのは
必然と僕も思います.
”1984(ジョージ・オ=ウェル)”の悪夢を識るロンドン市民ですらテロと
都市犯罪の増大に業を煮やして徹底した監視網設置を受け入れました.
至る所に設置された監視カメラからの巨大情報は,特定検索を高速で
処理するコンピュータに接続されて都市の死角を容赦なく暴きだして
行きます.
しかし,犯罪者を標的とするという名目で文字通り監視社会システムを
構築しようとする動きに対しては厳重な警戒が必要でしょう.
すでにペットでは現実のものとなっているのですが,マイクロ
チップを身体に埋め込む技術が加速しています.人体型の
マイクロチップも技術的には実用レベルに達していると聞きます.
GPSでの追尾はもとより,個人IDを足がかりに総ての行動,生活
記録を情報として管理する,そういった状況が生まれたなら
情報と現実の逆転すら起こり得るかもしれません.ネットで買物
をするたびに関連の”お勧め商品”メールが来る現状ですから.
by symplexus (2009-02-28 21:27)
symplexus様
ご指摘、ありがとうございます。同感です。
私自身はしかし、同時に、多くの人が、隠れようとする意思が強いのにも、驚くところがあります。隠れようとする気持ちがわからないではありませんが、想像以上に強いです。ですから、国民全員に、マイクロチップをはめ込むなどと言う事は、政治的に不可能です。監視の限界は、これらの多くの人々によって形成されるのです。民主主義で選挙をやっている限りでは、監視の徹底化は不可能と思います。
ロボトミー手術の件ですが、トロツキーの『文学と革命』の中に、その主張があります。共産主義もまた近代主義であって、人間の暗黒面を削除しようとして、脳手術に可能性を見たのです。
しかし悪は、実は自然そのものに、内在しているのです。人間に悪があるのではなくて、自然自体が悪を内包しているのであって、強姦の欲望は、人工ではなくて、自然なのです。人間的自然性を、手術で削除する事は、原理的に不可能です。
by ヒコ (2009-03-01 00:29)